ベトナム人はどうして「サッポーロー」と発音するのか。
前回のメルマガで、ベトナム人学習者に
対する発音指導では、
子音の指導よりリズム指導重視のほうが
いいこと、
そして、ベトナム語と日本語のリズム(拍)
の取り方の違いについてご説明しました。
とはいえ、後者については
「いまいちよく分からない。」
という方もいらっしゃるかと思いますので、
今回は、ベトナム語と日本語のリズムの
取り方の違いについてお話します。
まず、前回の内容のおさらい。
以下。
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さらに、ベトナム人学習者の場合、
日本語らしい発音ができない最も
大きな原因は、
ベトナム語と日本語のリズム(拍)の
取り方の違い。
どう違うのかというと、
日本語のリズム(拍)の基本は
子音+母音
の2要素からなりますが、
ベトナム語のリズム(拍)の基本は
子音+母音+子音
という3要素からなっているのです。
このことが原因で、ベトナム人学習者が
日本語を話す際、
どうしても、この3要素に揃えて発音
しようとしてしまうので、
余計なところで長音が入ったり、促音
が抜けてしまったりすると。
結果、日本人にとって聞き取りにくい
発音になってしまうわけですね。
逆に、日本語のリズムの指導をしっかり
すると、
多少子音に問題があっても、さほど
違和感を感じなくなります。
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例えば、ベトナム人学習者に「札幌」
を発音させると、
「サッポロ」ではなく、「サッポーロー」
と発音することが多々あります。
あるいは、「資生堂(しせいどう)」を
発音させると、
「シーセード―」
と発音してしまう。
日本人の耳からすると、なんか変です
よね。
日本語らしくない。
どうしてこうなるかというと、
まず、日本語の場合、「札幌」の拍の
取り方を「・」で区切って書くと、
【 Sa・p・po・ro 】
となります。
基本的に1つの拍の中は子音と母音の
2要素で、
「っ」のところだけ例外的に子音1つ
となります。
日本人の場合、1つ1つの音を
「子音+母音」
でとらえるのがしっくりくるんですね。
例えば、英語の
「Strike」
をカタカナにする際、
「ストライク(Su・to・ra・i・ku)」
 ̄  ̄  ̄
と、やたら母音を差し挟んでしまうのは
そのためです。
日本語の拍は、子音と母音の2つの部屋
でできているとイメージするとわかり
やすいと思います。
一方、ベトナム語の拍は、基本的に
「子音+母音+子音」
という3つの要素でできています。
ベトナム語の拍は、子音、母音、子音の
3つの部屋でできているとイメージする
とわかりやすいと思います。
彼らにとっては、この3要素を単位に
するのがしっくりくるんですね。
結果、「札幌」を発音すると、
【 Sap・po_・ro_ 】
のように、最初のpが前のSaの後ろに
食い込んでしまうんですね。
その結果、日本人が聞くと
「サッポーロー」
のように聞こえるのです。
ベトナム人学習者の場合、こうした現象が
日本語発話のいたるところで見られる
ので、
日本人からすると、なんとも座りの悪い
発音に聞こえるわけですね。
では、どうしたらいいかという話ですが、
ここで、名古屋経済大学の金村先生が
考案なさったのが、
「リズムたまご」
を使った指導法。
1つ1つの拍をたまごに見立て、それを
使って視覚的に日本語の拍の取り方を
理解させながら練習させる指導法です。
これにより、ベトナム人学習者の発音は
劇的に変わります。
「ベトナム人学習者の発音を何とかしたい。」
「ベトナム人学習者の発音コンプレックスを
助けたい。」
という方にとっては福音。
知らないと絶対に損です。
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