ベトナム人への発音指導は子音よりリズム重視。
ところで、皆さんはベトナム人
学習者の日本語を聞いたことがありますか。
1度聞いてみるとわかりますが、残念
ながら発音にかなり癖があります。
原因は、日本語とベトナム語の発音の
仕方に違いがあるからです。
「何度発音練習をしても治らない。」
そんな経験をした方もいらっしゃるかも
しれませんね。
あるいは、
「文法や読解の授業で手一杯で、
とても発音まで手が回らない。」
そんな方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、学習者の立場に立ってみれば、
日本語の発音が聞きづらいと以下のような
困難が生じます。
以下、金村先生の資料より。
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+漢語や固有名詞(名前、地名、商品名、
記号など)を言っても日本人に聞き
とってもらえない
+パソコンやスマートフォンなどで日本
語を入力するのが難しい
+なじみのない人、外国人に慣れていな
い人に話を聞いてもらえない
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そして、こうした問題に解決策を
提供できるのが、
他ならぬ私たち日本語教師なわけです。
ただ、日本語教師の方のお話を聞いて
みると、
「ツをチュと言ってしまう。」
とか、
「ザ行がジャ行になってしまう。」
のように、子音の発音に指導の力点が
置かれているケースがよく見られます。
もちろん子音の指導も大切なのでは
あるのですが、
もっと大事なのは、実はリズムの指導
です。
というのも、外国人の発音に対する
一般の日本人の評価に関する研究を
見てみると、
子音の誤用は多いが、プロソディの
誤用は少ない学習者と、
逆に、子音の誤用は少ないが、プロソ
ディの誤用は多い学習者では、
前者の方をより「日本語がうまい」と
評価することがわかっているからです。
さらに、ベトナム人学習者の場合、
日本語らしい発音ができない最も
大きな原因は、
ベトナム語と日本語のリズム(拍)の
取り方の違い。
どう違うのかというと、
日本語のリズム(拍)の基本は
子音+母音
の2要素からなりますが、
ベトナム語のリズム(拍)の基本は
子音+母音+子音
という3要素からなっているのです。
このことが原因で、ベトナム人学習者が
日本語を話す際、
どうしても、この3要素に揃えて発音
しようとしてしまうので、
余計なところで長音が入ったり、促音
が抜けてしまったりすると。
結果、日本人にとって聞き取りにくい
発音になってしまうわけですね。
逆に、日本語のリズムの指導をしっかり
すると、
多少子音に問題があっても、さほど
違和感を感じなくなります。
日本語のリズムがある程度できてから
子音の指導をすればいいんですね。
このように、発音指導には優先順位
というものがあります。
篠研企画 金村久美オンラインセミナー
「ベトナム人学習者に対する発音指導のポイント」
(3月4日開催)
https://www.kanjifumi.jp/kanamura_seminar/
では、名古屋経済大学の金村先生を
お招きし、
そのあたりのお話をじっくりお話し
いただきます。
「ベトナム人学習者の発音を何とかしたい。」
「効果的な発音指導を身につけたい。」
という方は、ぜひご参加ください。