2誌合同。「日本語教育有識者会議」を読む(4)
先日12月13日に、
「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する
有識者会議(第7回)」
が開催されました。
この内容は、現職の日本語教師の方にも
また、これから日本語教師を目指す方に
とっても、大変重要な内容です。
そこで、今回から数回にわたり、本会議で
提出された資料
「日本語教育の質の維持向上の仕組みに
ついて(報告)(素案) 」
https://bit.ly/3hxTout
を2誌合同で解説していきたいと思います。
2誌連番で解説いたしますので、片方しか
登録していない方は、両メルマガをご登録
なさるか、
下記サイトをご参照ください。
篠研の日本語教育能力検定試験対策
https://www.kanjifumi.jp/kentei/
(メルマガのバックナンバーが読めます)
また、かなり膨大な資料ですので、かいつま
んだ解説となることを予めお伝えしておきま
す。
詳しくは、上記資料をご参照ください。
第4回は、
「(イ)専門的な知識及び技能等を必要とする
日本語教師の資格に関する仕組み」
の続きです。
具体的には、
▼(試験)
▼(実践的な教育実習)
▼(日本語教師養成機関)
▼(指定日本語教師養成機関と実習機関の
質の保証・改善)
▼(経過措置)
です。
以下、引用します。
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(試験)
○ 登録日本語教員を国家資格として位置付
けることから、国が試験実施の一定要件を
満たす機関を指定し、試験の実施に関する
事務を行わせることができることとする。
・試験の内容は1.日本語教育についての基
礎的な知識及び技能に関する区分、2.日
本語教育についての基礎的な知識及び技能
を活用した問題解決能力(応用)に関する
区分とする。
・受験機会を確保する観点から、全国各地に
おいて年1回以上試験を実施することとし、
受験に当たっては、要件は特段設けないこ
ととする。
(実践的な教育実習)
○ 国は、実践的な「教育実習」を実施する
機関を指定することができることとする。
・実践的な「教育実習」の指定要件として
は、
1)日本語教師の実践的な知識及び技能を
有する実務者が実習機関の課程を担当
する体制を有すること
2) 平成 31 年審議会報告において示され
た日本語教育に関する指導項目を演習
及び実習について行うこととすること
・法施行時においては、現職日本語教師や
養成機関に在籍する者等の経過措置を検
討する。
・実践的な教育実習に含むべき具体的な内
容については、具体的な指定基準等で定
めることとする。
(日本語教師養成機関)
○ 国は、実践的な「日本語教師養成課程」
を実施する機関を指定することができるこ
ととする。
・国が指定する日本語教師養成機関の指定
要件としては、
1)平成 31 年審議会報告において示さ
れた日本語教師養成課程において含
むべき「社会・文化・地域に関わる
領域」「教育に関わる領域」「言語
に関わる領域」の3領域、5区分、
15 下位区分、必須の教育内容 50
項目で構成された日本語教育につい
ての基礎的な知識及び技能の習得に
必要な教育課程を備えること
2)1の授業を行うために必要な授業時
間数
3)日本語教師の養成に必要な高度かつ
専門的な知識及び技能を有する学識
経験を有する者が日本語教師養成課
程を担当する体制を有すること
などを検討する。
・日本語教師養成課程、実践的な教育実習
に含むべき具体的な内容については、具
体的な指定基準等で定めることとする。
(指定日本語教師養成機関と実習機関の質の
保証・改善)
○ 指定後も教育の水準が維持されるよう、
国は、指定日本語教師養成機関、実践的な
教育実習を行う機関に対し、その実施に関
し定期報告を求める。その他、虚偽の情報
提供がなされるなど何らかの課題が認めら
れ必要な場合には、指導改善を求めるとと
もに、段階的な是正措置を講じることがで
きることとする。
(経過措置)
○ 法施行時においては、法務省告示校や大
学の留学生別科などで認定を受けようとす
る日本語教育機関の現職日本語教師への経
過措置が必要である。指定日本語教師養成
機関の教育課程と同等と認められる現行課
程修了者、民間試験合格者である現職日本
語教師や、養成課程に在籍する者等の経過
措置などを検討し、制度開始前には様々な
機会を通じて十分な周知を行うこととする。
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いかがでしょうか。
試験は、説明を読む限り、今の日本語教育
能力検定試験とほぼ同じ内容・水準と思われ
ます。
今までは、検定試験に合格していてもいなく
手も日本語教師になれたこと、
また、合格率が28%前後であることから考え
ると、
本制度が実働すると、試験がマストになるわ
けですから、これだけでかなりハードルが上
がると思われます。
ですので、先々のことを考えると、現行の
検定試験に合格できるぐらいの知識は、今
のうちからしっかり蓄えておく必要がある
でしょう。
教育実習に関しても、今までは検定試験合
格で(つまり実習経験なしでも)有資格者
になることができましたが、
本制度実働後は、ここもマストになって
きます。
ここで、私が危惧しているのは、特に地方
における実習機会の確保です。
都市部であれば、養成機関も多いので教育
実習ができるところもあるでしょうが、
地方では必ずしも十分とは言えません。
そこを、本制度がどうフォローしていくの
か。
そこが、今後の検討課題の1つになると
思われます。
また、経過措置については、皆さんも強い
関心のあるところでしょう。
こちらについては、さらに報告書を紐解き
ながら考察していきたいと思います。