さまざまなタイプの学習者への指導経験を積むべし。
私が大学院を卒業して最初の職場は、
静岡県の小さな日本語学校でした。
大学院の同期は、ほとんどが博士課程に
進学するか、大学教員として就職。
そういう中での日本語学校への就職で
したから、中には、
「せっかく大学院まで行ったのに。」
と思った人もいたかもしれません。
私が日本語学校への就職を決めた理由は、
博士課程進学は、最初から眼中になかった
ことと(いい加減働きたかった)、
日本語教育学に両足を突っ込んで2年しか
経っていなかったため(学部は教育哲学。)
大学教員になる自信がなかった。
そして、日本語学校であれば、さまざまな
タイプの学習者と接することができるので、
その経験が、いずれ大きな財産になるだ
ろうと考えたからです。
そして、今になって思えば、日本語学校
への就職を選んで正解だったと思います。
なぜなら、その学校では、さまざまな
国籍の学習者はもちろん、
▼大学・大学院進学予定の留学生
▼日本人と結婚した配偶者
▼中国帰国者
▼技術研修生(現技能実習生)
▼永平寺に進学予定の僧侶
▼ALT
▼大学進学希望の外国人生徒
などなど、さまざまなタイプの学習者
に接することができましたし、
▼海外日本語教育実習in中国
▼暴動直後のインドネシアで海外入試
▼経済危機中のロシアウラジオストク
訪問
▼キリバスで2週間の日本語教育
などなど、さまざまな体験をさせて
いただくことができたから。
こういう経験があったからこそ、
篠研の通信講座でもタイプ別指導法の
講義ができるわけですし、
検定対策セミナーでも、問題に絡めて
自身の体験談を話すことで、
単なる問題解説ではない、臨場感の
あるコンテンツ提供に繋がり、
結果、多くの受講者の方から高い評価
をいただいているわけです。
もちろん、日本語学校に就職した
ばかりのときは、
将来起業するなど考えてもいません
でしたし、
このような形で経験が活きるとは想像
もしていませんでした。
ただ、あの時にまいた種が、確実に
花開き、今の私を支えています。
こういう経験から確実に言えることは、
できるだけ、さまざまなタイプの学習者
への指導経験を積んでおくべきである、
ということ。
よしんば今、指導する機会がないとし
ても、
せめて指導のセオリーやノウハウだけ
でも身につけておくべきであるという
ことです。
なぜなら、それが将来、より多くの
働く選択肢を提供してくれるからです。
私が、
■篠研企画 臼井智美セミナー
「日本語指導が必要な児童生徒に対する日本語
教育
-小中高で指導する前に知っておくと助かる
こと-」(8月28日開催)
https://www.kanjifumi.jp/usui_seminar/
をご案内するのも、そうした思いの一環
なのです。
今、ご自身の指導経験を振り返り、
「そういえば、留学生にしか教えたことが
なかった。」
「ボランティアで生活者にしか日本語を
教えたことがない。」
という方がいらっしゃれば、
【もし、そうした学習者が目の前から
いなくなってしまったら。】
ということを、一度考えてみるといいでしょう。
そうすれば、私の言わんとしていることが
ご理解いただけるのではないかと思います。