『日本語教師の資格及び日本語教育機関の水準の  維持向上を図るための仕組みの在り方について  (報告概要案)』を読む(その5)

シリーズでお送りしております、

「資料3
日本語教師の資格及び日本語教育機関の
水準の維持向上を図るための仕組みの在り
方について(報告概要案)」

出典はこちらのサイトです。

第6回日本語教師の資格に関する調査研究協力者
会議
https://bit.ly/3vbQM6m

第5回の今日は、

「○日本語教師の資格について」

の中から

10.その他

を読みます。

では、早速行きましょう。

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10.その他

今後制度の詳細を検討するにあたっては、現職
日本語教師等の今後の資格取得の見通し等、現
状を踏まえた制度設計が必要である。

また、公認日本語教師の資格を取得するインセ
ンティブについても今後どのような施策が考え
得るのか、その可否も含め検討を行う必要があ
る。

======================

とても短いですが、ここをいかにデザイン
していくかが、公認日本語教師制度の成否
を左右すると、私は考えています。

なぜなら、ここのデザインが日本語教師
の質量の確保に直結する問題だからです。

まずは、

「現職日本語教師等の今後の資格取得の見通し
等、現状を踏まえた制度設計」

について。

ちなみに、日本語教育能力検定試験の最近の
受験者数は、以下の通りです。

日本語教育能力検定試験 応募者・全科目受験
者・合格者数 推移
https://bit.ly/3vF8ory

2ページ目をご覧いただくとわかりますが、
平成26年から令和元年まで、もの凄い勢いで
受験者数が増えています。

昨年は、前年を下回ったとはいえ、応募者
が1万人を超えています。

応募者が1万人を超えたのは、令和元年と
2年だけですから、

空前の日本語教師ブームといっていいで
しょう。

ただし、今回のコロナ禍で日本語教師から
離れた方も相当数いると思われます。

また、日本語教師になったものの、こんなに
待遇が低いとは思わたかったという方も
少なくないのではないでしょうか。

また、大学で主専攻を出た新卒学生のほどんど
は日本語教師を選ばないという現実もあります。

今回の制度設計では、大学で然るべき教育を
受けた学生は、受験の際に優遇措置がありま
すが、

日本語教師の待遇が劇的に改善されない限り、
そのような措置を取ったとしても、彼らはお
そらく日本語教師の道は選ばないでしょう。

なので、

(これは後のインセンティブとも関係がある
のですが)

資格取得の見通しは、決して楽観視はできな
いと考えています。

次に、

「公認日本語教師の資格を取得するインセ
ンティブについても今後どのような施策が
考え得るのか」

について。

ここが凄く重要ですし、皆さんも関心の高い
ところだと思います。

私が傍聴した限りでは、資格取得のインセン
ティブや、

具体的な待遇改善策は話し合われていません
でした。

それはおそらく、お金がないからです。

というか、お金がないということを前提に
しか議論がされていないように見えました。

あるいは、

「待遇改善=金儲け=悪しきこと」

といったイメージがあるからなのかもしれ
ません。

ですが、本気で多文化共生社会の実現を謳う
のであれば、思い切った資金投下が絶対に必
要です。

そうしなければ、結局のところ、人を動かす
ことができないからです。

なので、例えば、文化庁(文科省)であれば

・公務員枠を大幅に増やす。

具体的には、すべての都道府県に最低10名
資格を持った日本語教師を正職員として配
置させる。

在住外国人が特に多い都市については、さら
に増員し、トータルで500人~1000人の雇用
を確保する。

人件費は、最初の5年は国が全面的に負担し、
その後、段階的に自治体の負担を移す。

さらに、外国人児童生徒を受け入れている
小中高等においては、児童数に応じて資格を
持った日本語教師を正教員として配置する。

以上のことを行えば、国内の日本語教師の半
分がボランティアという状況を少しは改善で
きるのではないかと思います。

また、日本語学校であれば、資格を持った
日本語教師を採用することを前提に、

・教師の待遇改善のために、法務省の認定を
受けた学校については、学校形態に応じて
国が助成金を出す。

・利益率の高いビジネスモデル構築を促進
するため、対面式授業を前提とした日本語
学校設置基準を改め、ICTを導入した大規模
授業を促進する内容を項目に盛り込む。

・日本語教師の最低賃金を日本語学校設置基
準に盛り込む。

ということも検討していいでしょう。

さらに、大学教員であれば、資格を取得する
ことで社会的評価が上がることを前提に、

・教員自身が日本語教育で起業し、新たなビジ
ネスモデルを創出し、成功事例を学生に示す
ことで、学生の日本語教師への就業意欲を
惹起する。

・国も大学教員の起業に資金面で支援する。
(そもそも実務家教員を推進しているわけ
だから。)

ということも検討していいだろうと思います。

そうやって、各持ち場持ち場で日本語教師の
待遇の向上を資格取得を絡めながら具体的に
検討していくことが重要だろうと思います。


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