『日本語教師の資格及び日本語教育機関の水準の 維持向上を図るための仕組みの在り方について (報告概要案)』を読む(その2)
前回に引き続き、
「資料3
日本語教師の資格及び日本語教育機関の
水準の維持向上を図るための仕組みの在り
方について(報告概要案)」
を読んでいきます。
出典はこちらのサイトです。
第6回日本語教師の資格に関する調査研究協力者
会議
https://bit.ly/3vbQM6m
第2回の今日は、
「○日本語教師の資格について」
の中から
1.日本語教師の資格の目的
2.試験の内容及び実施体制等
を読みます。
では、早速行きましょう。
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○日本語教師の資格について
1.日本語教師の資格の目的
日本語教師の資格を整備する目的は、質の高い
日本語教師の養成による日本語教育の質の向上
及びその確保を図り、
日本語教育の一層の推進を行うことによる、多
様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現、
諸外国との交流の促進及び友好関係の維持発展
とする。
2.試験の内容及び実施体制等
(1)試験の内容等
公認日本語教師になることを希望する者は、原
則として日本語教育能力を判定する試験の合格
及び教育実習を履修及び修了することが求めら
れる。
日本語教育能力を判定する試験の構成は二つに
分けるものとする。
筆記試験1は日本語教育の実践につながる基礎
的な知識を測定する試験、
筆記試験2は現場対応能力につながる基礎的な
問題解決能力を測定する試験とし、
その詳しい構成は下記の表1のとおりとする。
試験の出題範囲は、「日本語教育人材の養成・
研修の在り方について(報告)改定版」(平成
31 年3月4日文化審議会国語分科会)におい
て示された、
日本語教師の養成において必ず実施すべき内容
として示された「必須の教育内容」の50項目に
基づき出題する。
表1 試験の構成
https://bit.ly/3waC1BY
(2)試験の実施体制等
試験は国家資格として位置付けることから文部
科学大臣が実施することとするが、
文部科学大臣が指定する一定の要件を満たす法
人(以下「指定試験実施機関」とする。)にお
いても実施できることとする。
また、試験機会を確保する観点から、全国にお
いて年1回以上試験を実施することとし、受験
にあたって要件は特段設けないこととする。
表2 試験実施体制等
https://bit.ly/3v7xW0e
3.試験の一部免除及び教育実習の免除
前述のとおり公認日本語教師を目指す者は原則
として試験の受験及び合格並びに教育実習を履
修・修了することが必要だが、
文部科学大臣は、文部科学大臣が指定する機関
における課程等を履修し修了した者(以下、課
程修了者という。)については筆記試験1及び
教育実習を免除することができるものとする。
試験の一部免除及び教育実習の免除は、必要な
知識又は技能を有していると確認できる者に対
して改めて試験等を行う必要性が乏しく、
課程修了者のみならず試験実施機関の負担も軽
減することができることや、受験者の負担を軽
減し、試験を受けやすくすることで、
資格取得の際の門戸を広げ、日本語教師の量の
確保にも資するものである。
また、他の名称独占国家資格においても試験の
一部免除に関する前例が存在している。
さらに、一定の要件を満たす機関を文部科学省
が指定することを通じ、
今まで教育内容が機関によって様々であった大
学等における日本語教師養成課程の質の確保が
可能となり、
本課程を修了した日本語教師の質の維持・向上
を図ることにもつながる。
表3 試験の一部免除及び教育実習の免除の対象
者について
https://bit.ly/3iuLY9I
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上記で言う「筆記試験1」「筆記試験2」は
表1の内容から考えると、
「筆記試験1」は、現行の日本語教育能力検定
試験の試験Iに
「筆記試験2」は、同試験の試験II・IIIに
概ね該当するのではないかと思います。
また、出題内容についてあげられた
「日本語教育人材の養成・研修の在り方につい
て(報告)改定版」の、
日本語教師の養成において必ず実施すべき内容
として示された「必須の教育内容」の50項目と
いうのは、下記資料の表12(p.43)になります。
現行の検定試験とだいたい同じ内容であること
がお分かりいただけるのではないかと思います。
新制度では、これらの試験に加え、実習も課せ
られます。
つまり、公認日本語教師を目指すのであれば、
筆記試験の1と2に合格し、
かつ指定された機関で実習する必要があると
いうことなんですね。
今までであれば、420時間養成講座修了で
あれば、検定試験に合格していなくても有資
格者になれ、
一方、検定試験に合格すれば実習の経験がなく
ても有資格者になれたわけですが、
今後は、試験合格と実習の両方を満たさなけれ
ば、公認日本語教師にはなれないということ
なわけです。
ただし、「文部科学大臣が指定する機関におけ
る課程等を履修し修了した者」
言い換えれば、大学等の日本語教師養成コース
と420時間養成講座を修了した者は、
筆記試験1と実習は免除されるということなん
ですね。
以上の事から考えると、公認日本語教師制度は
現行の制度よりも一段階ハードルが上がったと
言えそうです。
しかも、現在の有資格者が公認日本語教師にな
るためには、
原則として筆記試験合格および実習の修了の要
件を満たす必要があるのです。
この点については、また次回以降にお話しいた
しますが、
現職の日本語教師の方も、決してうかうかして
はいられない、ということなんですね。
今から少しずつ準備をしておく必要があるので
す。