日本語指導の先の先にあるもの。
前回、
学習者の夢を見据えた指導がいかに大切か
というお話をしました。
これはこれで大変なことで、私もまだまだ
修行の身。
一緒に頑張っていきましょう。
そして、優れた教師というのは、さらに
その先を行きます。
それは、
「学習者の夢にまつわる魅力的な話と、
今から準備しておくといいことを
アドバイスできる教師。」
です。
例えば、前回の続きで学習者がパティシエ
になりたいとします。
そんな学習者に、
「新宿にケンズカフェ東京というお店が
あるの知ってる?
あそこのガトーショコラ、3,000円もす
るんだけど、ものすごくおいしくて、
飛ぶように売れてるんだよ。
●●さんも、そんなお店が開けたら
いいね。」
という話を、サイトを見せながら話したら
どうでしょうか。
きっと学習者は、夢がぐっと近づく感じが
して、嬉しくなるはずです。
ちなみに、お店のサイトはこちら。
(私はいまだに行けずじまいです。トホホ)
ケンズカフェ東京
https://kenscafe.jp/
さらに、
「ケーキはね、味もさることながら、
その形、デザインがとても大事。
インスタ映えするようなデザインの
ケーキだったら、人気が出るよ。
だから、ケーキ屋に行って食べたいな
と思ったケーキがあったら、
それを買って、家で食べる前に写真に
撮って、
どうして食べたいと思ったのか、その
写真を見ながら考えなさい。
いつか必ず役に立つから。」
とアドバイスしたらどうでしょう。
もしかしたら、学習者はそんなこと
思いもしなかったかもしれません。
しかしながら、パティシエであれば、
審美眼を磨くことはとても大切。
しかも、これは一朝一夕にできるもの
ではなく、
とにかく1000も2000も量見なければ
養うことができないのです。
「だからこそ、今からやっとけよ。」
というわけですが、
それだけの超長期的視点からアドバ
イスされたら、
学習者は間違いなく、その教師に全幅の
信頼を寄せるに違いありません。
同じように、例えばアニメの道に進み
たい学習者がいたら、
「アニメはね、その国の20年後、30年
後の産業に大きく影響を与えるんだ
よ。
日本は昔、鉄腕アトムというアニメが
あった。
それを見た子供たちは、20年後大人に
なって、産業用ロボットを開発し、
それが、日本の高度経済成長を支えた
わけだ。
ドラえもんを見て育った子供たちは、
30年後大人になって、
アイボやアシモのような人間のパート
ナーとしてのロボットを開発したん
だね。
アニメというのは、それぐらい影響力
の強い産業なんだよ。」
と言えば、学習者は「なるほど!」と
なって、
「自分の人生選択に間違はなかった。
そのことにこの先生は気づかせて
くれた。」
となるでしょう。
だから、こじつけ話でもいいから
こういう小ネタを持っておくという
のは、とても重要なのです。
ですが、このように言うと、中には、
「そんな豆知識を揃えるなんて、
無理だ。」
という方もいらっしゃるかもしれま
せん。
確かに。
では、どうしたらいいか。
1つは、いろいろな学習者からその
夢の魅力を聴いてみること。
そして、そこで仕入れたネタを、他の
同じような夢を持っている学習者に、
まるで昔から知っているかのように
熱く語る(笑)
もう1つは、YouTubeや書籍などで
知識を仕入れる。
そして、昨日の夜知ったことを、
さも昔から知っているかのように
熱く語る(笑)
それでいいんです。
それから、こういう知識は1つの
分野につき1つでOK。
しかも、ちょっとマイナーな知識で
あれば、通っぽく映ってなおよしです。
例えば、先ほどのケンズカフェ東京。
私が東京のケーキ屋で知っているのは
ここだけです。
(あとは、羽田空港の東京バナナだけ(笑))
しかも、行ったことすらありません。
でも、それでいいんです。
たった1つ知っているだけで、学習者は、
「この先生、何でも知っていてスゲー!」
となります。
(ホントは1個しか知らないのに(笑))
要は、学習者に熱が伝わればいいんですね。
教育学者であるウィリアム・ウォード
の言葉に、
「平凡な教師は言って聞かせる。
良い教師は説明する。
優秀な教師はやってみせる。
しかし最高の教師は子どもの心に
火をつける。」
というのがあります。
学習者の心に火をつける教師を目指して
いきたいものですね。