グリム兄弟、本業大学教授、副業絵本作家。

歴史言語学で有名な法則に

【グリムの法則】

というのがあります。

これは、

サンスクリット語、ラテン語、ギリシャ語で
[p]で始まる語の多くがゲルマン語では[f]で
始まっている、という音韻対応の法則。

これにより、

「上の言語は、みんな親戚縁者だね。」

という結論になるわけです。

グリムというと、童話作家のグリム兄弟を
思い浮かべると思いますが、

実は、この「グリムの法則」のグリムは
まさにグリム童話のグリムと同一人物!

通信講座講義資料「No.002 言語の系統概説」
では、以下のように説明しています。

====================

歴史言語学・比較言語学

言語の分類の方法としては、共時的アプ
ローチによる言語類型論の他、

歴史言語学や比較言語学と言われる、
言語の歴史的変遷をたどる通時的アプローチ
による言語研究もあります。

歴史言語学は、言語の歴史的な変化を明ら
かにすることを目指した学問領域です。

また、比較言語学は、歴史言語学の一領域で、
異なる言語を様々な観点から比較することに
よって、

その親族関係を明らかにすることを目指した
学問領域です。

こうした学問によって、世界の諸言語の親族
関係を表したものを言語の系統と言います。

代表的な研究にグリムの法則というのがあり
ます。

ヤーコブ・グリム(Jacob Ludwig Carl/Karl
Grimm)は(1)に示すように、サンスクリッ
ト語、ラテン語、ギリシャ語で[p]で始まる語
の多くが、

ゲルマン語では[f]で始まっていることに着目
しました。

(1)父:patter(ラテン語)-father(英語)
魚:piscis(ラテン語)-fish(英語)

グリムは、この他にもいくつかの音韻上の
規則的な対応関係を見出し、

その歴史的推移に一定の法則があることを
明らかにしました。

これをグリムの法則といいます。

ちなみに、『グリムの童話』を書いたグリム
兄弟というのは、

このヤーコブ・グリムと弟のヴィルヘルム・
グリムのことです。
=====================

このように言うと、

「なぜ、童話作家が言語学に首を突っ込んだ
のか。」

という疑問を持たれるかもしれませんが、

実はそれは逆で、ヤーコブグリムはもともと
ベルリン大学で20年も教鞭をとった言語学者
で、

その彼が研究のかたわら童話の編纂をした
ということなんですね。

では、なぜ研究活動の忙しいさなかに
そんなことをしたのか。

当時、言語学者が研究を進める上で一番
大変なのは、生の言語データの収集。

必要な言語データを、いかにして効率よく
大量に収集するか、というのが

研究活動を進めていくうえで非常に重要な
わけです。

とにかく調査する地元の方にじゃんじゃん
しゃべってもらわないといけない。

どうしたらいいと思いますか?

最も手っ取り早い方法は、

そこの地域に昔から伝わる昔話や童話を
話してもらうという方法。

「この地域の昔話をはなしていただけ
ませんか?」

というと、その土地の人喜んでじゃん
じゃんしゃべってくれるわけですね。
(酒が入るとなおよし(^_^))

それを書きとった言語データをもとに
分析して研究すると。

グリムがそうやって研究を続けるうちに、
たくさんの童話や昔話を収集したことは
容易に想像できます。

ここから先は私の推測なんですが、

おそらくは、書斎の大部分を占拠する
膨大な言語データを前にして、

「これ、なんか金にならんかな。」

というふうに考えたんじゃないかと
思うのです。

さまざまな地方に足を運んで調査を
するわけですから、宿泊交通費だけ
でもバカになりません。

そこへもってきて、目の前にある
膨大な童話資料。

「これをうまくまとめて童話集として
出版したら、売れんじゃね?」

かくして誕生したのが、聖書に並ぶほど
広く読まれたと言われる『グリム童話』。
(えらい、儲かりましたなぁ(笑))

このように、

研究者というのは、ただ研究するだけ
だと研究資金があっという間に底を
ついてしまうので、

研究を続けるためにも、どこかでキャッ
シュポイントを作らなければならない。

昔の研究者もいろいろ自分なりに考えて
やってきたというわけなんですね。

絵本作家と言えば、今やキングコングの
西野さんが脚光を浴びていますが、

(私も「えんとつ街のプペル」見に行き
ました。号泣しました。)

今から170年も前に、副業絵本作家で
大成功を収めた言語学者がいたんですね。

そんな逸話も込みで勉強すると、

検定試験対策も結構楽しみながら
続けられるんじゃないかなと思います。


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