含意的普遍性は、キャベツの千切りである。

すべての言語が共通して持っている
言語の性質を

「言語の普遍性」

と言います。

で、言語の普遍性の中にもいくつか種類が
あるのですが、

その中に、「含意的普遍性」というのが
あります。

「含意的普遍性」とは、

「ある特徴を持つ言語がその特徴に付随して
別の特徴も同時に持つこと。」

これらは言語類型論にでてくる重要な
キーワードですので、

特に検定試験受験予定の方にとっては
必須の知識です。

もちろん、篠研の通信講座でもしっかり
解説しています。

とはいえ、初めて耳にした方にとっては、
にわかに理解しにくいものかもしれません。

ここで言う「別の特徴」とは、

「その言語が持つある特徴とは別の特徴」

という意味です。

例えば、含意的普遍性には次のようなもの
があります。

a. グリーンバーグの普遍性4
:偶然をはるかに超える頻度で、SOVの
基本語順を持つ言語は後置詞を持つ。

(リンゼイJ.ウェイリー
『言語類型論入門』岩波書店 p.36)

後置詞とは、名詞の直後につく接辞のことで、
日本語の助詞がそれにあたります。

つまり、SOV(主語-目的語-動詞)の語順
という特徴を持つ言語は、

それだけでなく、ほぼそれにくっついて
後置詞を持つという特徴も含み持っている
わけですね。

こういった性質のことを含意的普遍性と
いいます。

たとえて言えば、とんかつ定食における
キャベツの千切り。

とんかつ定食の特徴は、もちろん
「とんかつがある」ことですが、

たいていのとんかつ定食には、偶然を
はるかに超える頻度でキャベツの千切りが
添えられています。

別にレタスでも、クレソンでもいいような
ものですが、

なぜか、偶然をはるかに超える頻度でキャ
ベツの千切りがあるわけですね。

つまり、とんかつ定食はとんかつがある
という特徴に加え、

キャベツの千切りがあるというおまけの
特徴も含み持っているわけです。

これを含意的普遍性というわけです。

いかがでしょうか。

久しぶりにとんかつ定食で熱く語り
ました(笑)

言語学というと、

とかく理屈っぽく、やたらと難しく、
そして、何気にかび臭い。

そんなイメージがあるかもしれません。

大体その通りです(笑)

ですが、それでもそのやぶの中を
かき分けかき分け進んでいくと、

ある瞬間からパーッと目の前が開け、

「なるほど!そういうことか!」

と、納得の嵐が脳髄を駆け巡るような
発見があったりします。

ランナーズハイならぬ
「言語学ズハイ」(言いにくい。笑)

そこまで来れば、「含意的普遍性」などと
いう、しち面倒くさい用語を見ても、

「要は、とんかつ定食の横のキャベツの
千切りみたいなものなんでしょ。」

と、生活レベルバレバレの比喩で(笑)
インテイクに落とし込むことができるわけ
です。

言語類型論は、地球上のすべての言語を
鳥瞰図的に(つまりは、超上から目線で)
論じる

言うなれば「言語の神様」。

その神様の横に鎮座して下界の諸々の言語を
眺めてみるのも、なかなかおつなものです。


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