「慣用句、熟語と比喩」、侮るべからず。
比喩と言えば、
シミリー、メタファー、
メトニミー、シネクドキ。
どんな比喩か、例も含めてパッと
連想できますか?
ざっくり説明すると
シミリー(直喩):
「~のような」「~みたいな」といった表現を
伴うことで、比喩表現であることを明示した
比喩表現。
例)リンゴのような頬。
メタファー(隠喩):
類似性に着目して、ある言葉を、それとは全く
異なる概念領域にある言葉で表現すること。
例)あなたは私の太陽だ。
晴れ晴れとした気分。
メトニミー(換喩):
ある言葉をそれと関係の深いほかの言葉
(これを隣接関係と言います。)で表した
比喩表現。
例)鍋を食べる。/お化粧室。
シネクドキ(提喩):
上位概念で下位概念を、あるいは下位概念で
上位概念を(これを上下関係あるいは包摂関
係といいます。)表した比喩表現。
例)隣の家で不幸があった。
あの奥さん、今おめでたです。
ところで、「慣用句、熟語と比喩」
と聞いて、
「慣用句、熟語と比喩がつながる?」
と思われる方もいらっしゃるかも
しれませんが、
つながります!!(断言)
私たちが普段使っている慣用句の中には、
比喩が活かされているものが数多くあり
ます。
特に身体語彙を使った慣用句に多く
見られます。
例えば、シミリーであれば
「赤子の手をひねるよう」
「頭から水を浴びたよう」
メタファーであれば
「財布の口(形状の類似)」
「パンの耳(主体物の側にあるという
類似性)」、
メトニミーであれば
「頭が切れる(「思考」に隣接する
「頭」に転化)」
「腕を磨く(「技術」に隣接する
「腕」に転化)」
「言われてみれば、確かに!」
でしょ(^_-)b
また、熟語の中にも比喩の要素を
含んだものがあります。
「花見」は「桜」の上位語である
「花」で表したシネクドキの例であり、
「着手」は「仕事」に隣接する
「手」に転化したメトニミーの例。
このように見てみると、
意外と比喩が日本語の様々な
ところに浸透しているのが
分かります。
ただ、ここで留意したいのは、
比喩表現はその解釈を聞き手に
委ねているという点。
つまり、
「わかる人にはわかるけど、
わからない人にはわからない。」
それが比喩なんですね。
ということは、学習者が日本語の
比喩を見たときに、
その意味が分からなかったり、
誤解してしまったり
ということが起こりやすい
ということなのです。
だから、日本語を指導する際、
指導する日本語に比喩的要素が
含まれていないか、
事前にしっかり準備をして指導に
臨むことが大事なんですね。
「赤子の手をひねるよう」
にはいかないのです。