検定試験出る問シリーズ(4)-「語用論的転移」の鉄板事例。

「語用論的転移」

なんですか、それ?

そう思われる方もいらっしゃる
かもしれません。

語用論的転移とは、母語の影響
による誤用の一種で、

ざっくりいうと、

「ものの言い方にかかわる誤用」

を言います。

文法や語彙の使い方としては
間違っていない、

しかし、目標言語の母語話者は
そんな言い方をしない、

そういう誤用のことです。

平成23年度の検定試験にこのような問題が
出題されました。

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問3 英語から日本語への「語用論的転移」の例とし
て最も適当なものを、次の1~4の中から1つ選
べ。

1 「一緒にパーティーを投げませんか」と友人に言
う。

2 「図書館が締めないうちに本を借りてきます」と
友人に言う。

3 「約束の時間をchangeしていただけませんか」と
友人に言う。

4 「一緒に勉強したいですか」と友人に言う。

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皆さんは、どれが答えだと思われますか。

正解は4番。

もし、クラスの女の子から、

「私と一緒に勉強したいですか。」

などと言われたら、

即、

「この人、苦手なタイプ。」

と、わたしならシューーーッと
その場から消えていなくなります(笑)

ただ、英語を母語とする学習者の場合、
こういう言い方をしてしまう方が決して
少なくありません。

なぜなら、母語ではそういう言い方を
するから。

文法や語彙の使い方としては
間違っていない、

しかし、目標言語の母語話者は
そんな言い方をしない。

こういう誤用がまさに

「語用論的転移」

と言われているものなのです。

そして、それが検定試験に出題される
場合の鉄板ともいうべき典型的な事例が、

この英語母語話者による

「私と一緒に勉強したいですか。」

という言い方なんですね。

実は、鉄板事例はもう1つあります。

同じく英語母語話者による

「先生、私が作ったケーキ、
食べたいですか。」

という言い方。

日本語母語話者であれば、さしずめ

「先生、私が作ったケーキですが、
おひとついかがですか。」

というべき場面。

とりわけ目上の相手に対して

「~たいですか。」

といった表現を使うのは、往々
にして失礼。

ですが、英語ではこういう言い方も
あるため、英語母語話者は、

「先生、私が作ったケーキ、
食べたいですか。」

といった誤用を犯してしまうんですね。

もし、こうした知識のない日本人が、
外国人からこういう言い方をされたら、

「なんて失礼な奴なんだ。」

と思うでしょう。

これは、学習者にとっても不本意な
はず。

だからこそ、私たち日本語教師が
事前に、

「日本語では、こういう言い方を
するんですよ。」

と学習者に伝えてあげることが
とても有効なんですね。

もちろん、語用論的転移は他の言語圏
学習者にもそれぞれ特有なものがあり
ます。

検定対策的に言えば、英語母語話者の
例にも飽きてきた感がややあるので、

そろそろ他の言語圏の例も知っておいた
方がいいかもしれませんね(^_^)


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