「地域における多文化共生推進プラン」(改訂)を読む(その4)

シリーズ

「地域における多文化共生推進プラン」(改訂)を読む。

出典先は、こちら。

「地域における多文化共生推進プラン」の改訂
https://bit.ly/3d2vHnx

第4回の今日は、

「3.地域における多文化共生を推進するための具体的な施策」

を読みます。

とても長いので、3回に分けてお送りします。

具体的な施策にまで踏み込んでいるということは、実施段階
まで事が詰められているということ。

今後、行政レベルでどんどん実現されていくのだろうと、
個人的には期待しています。

とはいえ、実働人材が不足していればどうしようもありま
せん。

そのためにも、私たち自身がしっかり準備をしておく必要が
あると思います。

以下、本文。

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3.地域における多文化共生を推進するための具体的な
施策

(1)コミュニケーション支援

1.行政・生活情報の多言語化、相談体制の整備

ア.多言語・やさしい日本語、多様なメディアによる
行政・生活情報の提供住民に提供される行政サービ
スや履行しなければならない義務の内容、

地域社会で生活する上で必要となるルールや慣習、
地域が主催するイベント等について、

多言語(やさしい日本語を含む。以下同じ。)での
情報提供を行う。

その際、地域の実情に応じて、対応する言語を検討
する。

通訳の配置のほか、ICTを活用した電話・映像通
訳、多言語翻訳アプリ等の活用を検討し、

必要な多言語対応の体制を整備する。なお、ICT
を活用する際も、

情報の受け手である外国人住民の理解を得て、円滑
に意思疎通できるよう、十分配意する。

多言語による情報の提供に関しては、行政の窓口に
加えて、

コミュニティ施設や日本語教室等、効果的な情報伝
達ルートを確保することとし、SNSも積極的に活
用する。

イ.外国人住民の生活相談のための窓口の設置

外国人住民が行政・生活情報を入手し、地域生活で
生じる様々な問題について相談できるよう、

「外国人受入環境整備交付金」(出入国在留管理庁)
を活用した一元的相談窓口等、

外国人住民の生活相談のための窓口や情報センター
を設置する。

ウ.NPO等との連携による多言語情報の提供

通訳を育成するとともに、外国人住民への支援に取
り組むNPO等や外国人の自助組織等と連携の上、
多言語による情報提供を推進する。

エ.地域の外国人住民を相談員等とする取組

外国人住民が地域生活で抱えている問題は、同様の
文化的・社会的背景を有する外国人住民が一番理解
できる立場にあることを踏まえて、

地域の外国人住民を相談員等とする取組を推進する。

2.日本語教育の推進

ア.日本語教育の推進

日本語教育の推進に関する法律(令和元年法律第48号)
に規定された基本理念にのっとり、

日本語教育の推進に関し、国との適切な役割分担を踏
まえて、地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施
する。

また、国の施策を勘案し、地域の状況に応じた日本語
教育の推進のために必要な施策を実施するよう努める。

地域の実情に応じた日本語教育の推進に関する施策を
総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を定
めるよう努める。

必要に応じて、基本的な方針その他の日本語教育の推
進に関する重要事項を調査審議させるため、

条例で定めるところにより、審議会その他の合議制の
機関を置く。

イ.日本語教育の推進に係る体制の整備

地域における日本語教育が適切に行われるよう、関係
する行政機関、日本語教育を行う機関、外国人等を雇
用する事業主、

外国人等の生活支援を行う団体等の関係者相互間の連
携の強化その他必要な体制の整備に努める。

その際、「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進
事業」(文化庁)の活用も検討する。

3.生活オリエンテーションの実施

ア.生活オリエンテーションの実施

外国人が地域住民としての生活を開始してからできる
だけ早い時期にオリエンテーションを実施し、

行政情報や日本社会の習慣等について学習する機会を
提供する。

その際、地域の自治会やNPO等との連携を図ること
にも留意する。

イ.日本社会に関する情報の提供

生活オリエンテーションの実施後も、継続的に、外国
人住民に日本社会に関する情報を提供する。

(2)生活支援

1.教育機会の確保

ア.就学状況の把握

学齢簿の編製に当たり全ての外国人の子供についても
一体的に就学状況を管理・把握する。

また、学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)第1条
に定める学校のみならず、外国人学校等も含めた就学
状況を把握する。

イ.就学に関する多言語による情報提供・就学案内

外国人の子供が就学の機会を逸することのないよう、
小中学校の入学や学校生活及び就学援助制度、

その他学校制度全般について、多言語での周知やわか
りやすい説明を行い、公立の義務教育諸学校への入学
も可能であることを案内する。

外国人の保護者に対し、住民基本台帳等の情報に基づ
き就学案内を送付する。

就学案内に対して回答が得られない場合は、個別に保
護者に連絡を取って就学を勧めることも検討する。

ウ.就学校・受入れ学年等の決定

外国人の居住地等の通学区域内における義務教育諸学
校で十分な受入れ体制が整備されておらず、

他に受入れ体制が整備されている義務教育諸学校があ
る場合には、就学校の変更に関する制度と必要な手続
について説明し、

保護者の申立てがあれば、地域の実情に応じて就学校
の変更を認めるなど、柔軟な対応を行う。

外国人の子供の受入れに際し、特に日本語でのコミュ
ニケーション能力の不足等により、

ただちに年齢相当学年の教育を受けることが適切でな
いと認められる場合には、

一時的又は正式に日本語能力・学習状況等に応じた下
学年への編入学を認めること等も検討する。

エ.日本語の学習支援

「外国人児童生徒受入れの手引き改訂版」(平成31年
3月文部科学省)等を参考に、

外国人の子供の日本語能力に応じた指導を進めるとと
もに、学校管理職や日本語指導担当教員等に対して外
国人児童生徒教育の研修を実施する。

日本語による学習の効果を高めるために、学校におけ
る「特別の教育課程」による日本語指導や在籍学級に
おける支援、加配教員の配置、

日本語指導補助者・母語支援員の派遣等の指導体制の
充実に加えて、

ボランティア団体等と連携した学習支援や母語による
学習サポート等、放課後等や地域での補習を実施する。

オ.地域ぐるみの取組の促進

親子間のコミュニケーションギャップ、保護者と学校
とのコミュニケーションギャップ等の課題への対応に
ついては、

学校のみに対応を委ねるのではなくNPO等、国際交
流協会、自治会、企業等も含めた地域ぐるみの取組を
促進する。

カ.不就学の子供への対応

学校に通っていない又は中途退学した不就学の外国人
の子供の実態を把握した上で、

外国人の子供が未来への希望を持ち、その能力を地域
社会においても最大限発揮できるよう、

教育環境の整備を行い、不就学の子供に対する支援等
の取組を講じる。

その際、地域のNPO等との連携を図ることにも留意
する。

学習の機会を逸した外国人の子供については、本人や
保護者が希望すれば、

公立の義務教育諸学校への円滑な編入が行われるよう
措置する。

この際、学校生活を送るために必要な日本語能力が不
十分である場合は、本人や保護者の希望に応じ、

日本語学校・日本語教室等において受け入れるなどし、
学校生活への円滑な適応につなげるための教育・支援
等を実施するよう努める。
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こういう報告書を読んでいつも思うのは、

「これを本気で実施しようとすると、相当な人件費
がかかるはずだけど、大丈夫かな。」

ということです。

特に地方でよくあるのは、

仕事は増えたが充分な予算がつかない。

仕方がないので行政はボランティアを募る。

そこで集まってくるのは、未経験な超ご年配
の方ばかり。
(働き盛りは働いているし、経験者・資格者
はタダで自分のノウハウを出そうとは思わ
ない。)

ボランティアなので参加者も気楽にするし、
ご年配の方は体力が続かない。

そのため、人の出入りが多く、組織としての
ノウハウが蓄積されない。

結果、何も残らない。

悲しいかな、これが多くの地方の現実です。

そうならないためには、

外国人労働者やその家族の受け入れが地域
経済の活性化につながり、税収増加、

そして、その一部をさらなる多文化共生施策
に回す、という青写真を、

行政担当者がしっかり描き、リーダーシップを
発揮して関係者をリードする

ということがとても重要です。

そこに国がどこまで関与し、引っ張っていくかが
成否の分かれ目かなと、私は考えています。

もちろん、行政が具体的に動き出したときに、
スッと動けるよう、私たち自身も準備を進めて
おく必要があります。


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