グダグダ説明するのではなく、●●●の爆発力を利用せよ。
今日は、大学で中級日本語の語彙の授業
の2回目。
留学生がコロナの影響で韓国在住のため、
授業はZOOMを使ったオンラインで行っています。
で、韓国語母語話者と言えば、やはりイント
ネーションがネック。
ということで、シャドーイングのトレーニング
を初めて入れてみました。
留学生もみな初めて。
テキストの中の短めの文章(150字程度)を
付属の音声に沿って練習。
初めてとあって、ほとんどできません。
例えば、こんな感じです。
音声:地球温暖化の原因は、二酸化炭素の層が…
学生:………地球オン………カノ………ワ、ニーサン…
音声認識やその処理が、モデル音声のスピード
にまったく追いついていないんですね。
このことは、他ならぬ留学生自身が痛感している
はずです。
もしもこんな時、留学生に「全然ダメじゃん!」
なんてデリカシーのないことを言ったら、
「もう死んでもシャドーイングなんか
やってやるもんか!」
となるので、絶対言ってはいけません。
「おっ!思ったよりできるねぇ。
大丈夫、大丈夫。5回練習すればできるように
なりますよ。」
と励まし、
「1回目は、誰でも全然できません。
2回目は、ちょっとだけできます。
3回目は、だんだんスピードについて
行けるようになります。
4回目は、かなりスピードについて
行けます。
5回目は、音声のスピードと同じように
話せます。
だから、5回練習しましょう。」
と、ゴールまでのプロセスやロジックと、
5回練習することの意味を伝えます。
(↑これ、かなり大事!)
そして、ここでダメ押し。
私:キムさん、この練習を1月までやったら
どうなると思う?
金:???
私:電話の向こうの日本人が、
『えっ?韓国人?日本人かと思ったよ。』
ってなるよ。
どう?シャドーイング、頑張ってみる?
ZOOMの向こうの学習者はバカウケ&身震いする
とともに、首を大きくタテに振りました(よし!つかんだ!)
学習者を前のめりにさせるコツは、授業の
要所要所で、学習者にワクワク感や「快」
の感情を抱かせることです。(←超重要!)
で、3回目となると、こんな感じ。
音声:地球温暖化の原因は、二酸化炭素の層が…
学生:…地球温ダ……原因は、……二酸化タ……
少しずつですが、音声処理が早くなってきています。
でも、もう少し処理速度が欲しいところ。
そこで、学習者をやる気にさせるメタファー(直喩)。
私:1回目の皆さんはね、ウィンドウズ95!
でも、3回目の皆さんはウィンドウズ7!
がんばって10(テン)まで行きましょう!!(笑)
留学生は爆笑するとともに、何が求められている
のかを瞬時に理解し、張り切って練習したのでした。
メタファー(直喩)でもメトニミー(換喩)でも
シネクドキ(提喩)でも、何でもいいですが、
比喩というのは、ワンフレーズで直感的に膨大な
情報を的確に伝える爆発力があります。
グダグダ説明するよりも、学習者の感性にヒットする
比喩表現で一発インストールできることもあるのです。