『令和元年度国内の日本語教育の概要』を読む(第1回)
日本語教育ニュースフラシュでもご紹介いたし
ましたが、
先日、『令和元年度国内の日本語教育の概要』が
文化庁より発表されました。
『令和元年度国内の日本語教育の概要』文化庁
https://bit.ly/2OVTzOo
本発表は、令和元年11月1日現在のもの。
本報告書は
I 外国人等に対する日本語教育の現状について
II 日本語教師養成・研修の現状について
III 日本語教育コーディネーターの現状について
の3部構成からなります。
こうしたデータは、検定試験にもよく出題されますし、
何より現職の方にとっても、これから日本語教師を目指される
方にとっても、
国内の日本語教育の最新の状況を知るうえで非常に重要です。
そこで、今回から数回にわたり、
『令和元年度国内の日本語教育の概要』を読む
と題して、内容を読みながら解説していきたいと思います。
第1回の今日は、
「I 外国人等に対する日本語教育の現状について」
についてみていきます。
細かい数字はともかく、概数は押さえておくといいでしょう。
なお、本文中の図表、内訳図表関連記事は割愛いたしますの
で、もしご覧になりたいという方は、報告書をご覧ください。
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I 外国人等に対する日本語教育の現状について
1 概観
令和元年11月1日現在,国内における日本語教育実施機関
・施設等数は2,542,日本語教師等の数は46,411人,日本語学
習者数は277,857人となっている。
前年度との比較では,日本語教育実施機関・施設等数,日本
語教師等の数,日本語学習者数すべて増加している。
平成2年度からの推移を見ると,日本語教育実施機関・施設等
数は821から2,542(3.1倍)に,
日本語教師等の数は,8,329人から46,411人(5.6倍)に,日本
語学習者数は60,601人から277,857人(4.6倍)にそれぞれ増加
している。
2 日本語教育実施機関・施設等数について
(1)全体の動向
2,542となっており,平成30年度(2,290)より252(11.0%)
増加した。
内訳は,大学等機関が35,法務省告示機関が112,任意団体等が
288増加し,地方公共団体・教育委員会が94,国際交流協会が89の
減少となっている。
(2)機関・施設等別の状況
法務省告示機関が618(24.3%)と最も多く,以下, 大学等機関
が566(22.3%),任意団体547(21.5%),
国際交流協会334(13.1%),地方公共団体197(7.7%),教育
委員会175(6.9%)の順となっている。
3 日本語教師等の数について
(1)全体の動向
46,411人となっており,平成30年度(41,606人)より4,805人
(11.5%)増加した。
内訳は,職務別に見ると,非常勤による者が2,123人,常勤による
者が980人,ボランティアによる者(※)が1,702人増加している。
(2)機関・施設等別の状況
法務省告示機関が12,933人(27.9%)と最も多く,以下,国際交
流協会10,097人(21.8%),任意団体7,720人(16.6%)地方公
共団体5,517人(11.9%),
大学等機関5,212人(11.2%),教育委員会2,639人(5.7%)の
順となっている。
(3)職務別の状況
ボランティアによる者が24,745人(53.3%)と最も多く,以下,
非常勤による者が15,031人(32.4%),常勤による者が6,635人
(14.3%)の順となっている。
4 日本語学習者数について
(1)全体の動向
277,857人となっており,平成30年度(259,711人)より
18,146人(7.0%)の増加となっている。
内訳は,大学等機関で3,065人,法務省告示機関で11,172人,任
意団体等で11,562人増加し,地方公共団体・教育委員会で5,512人,
国際交流協会で2,141人減少している。
国別で見ると,中国で13,454人,ベトナムで3,762人の増加と
なっている。
(2)機関・施設等別の状況
法務省告示機関が113,626人(40.9%)と最も多く,以下,大学
等機関66,112人(23.8%),国際交流協会33,590人(12.1%),
任意団体20,403人(7.3%),地方公共団体17,783人(6.4%),
教育委員会11,127人(4.0%)の順となっている。
(3)出身地域別の状況
アジア地域が235,158人(84.6%)と最も多く,うち中国が
91,547人(全学習者の32.9%)を占めている。
以下,南アメリカ地域11,243人(4.0%),ヨーロッパ地域
8,951人(3.2%),北アメリカ地域7,547人(2.7%),ロシ
ア・NIS諸国2,688人(1.0%),
アフリカ地域1,973人(0.7%),大洋州1,388人(0.5%)の
順となっている。
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以上、主なものをまとめますと、
▼国内における日本語教育実施機関・施設等数は2,542,日本
語教師等の数は46,411人,日本語学習者数は277,857人。
前年比ですべて増加。
▼機関・施設は法務省告示機関、すなわち日本語学校が最も多
い。
▼日本語教師は、ボランティアがほぼ半数。
▼日本語学習者は、法務省告示機関(=日本語学校)の学生が
最も多く、国籍は中国が最も多い。
ざっとこのような感じです。
まずは、こうした輪郭をしっかりつかむところから始めましょう。