『2018年度 海外日本語教育機関調査』を読む(最終回)

引き続き

2018年度 海外日本語教育機関調査:国際交流基金
https://bit.ly/3iHfRB4

を読んでいきます。

今回は、その5回目、最終回。

「5.学習目的・理由の概況」

についてみていきます。

そもそも、学習者は何をきっかけにして日本語に
興味を持ち、日本語を学習するようになったので
しょうか。

そこがわかれば、私たちの学習者に対する見方も
変わりますし、

例えば、授業でも学習者の興味のわくものを取り
あげれば、学習者は前のめりになって取り組んで
くれるかもしれません。

「敵を知り、己を知らば百選危うからず。」

と言いますが、相手のことを知るということも
日本語教育をする上で、とても重要なんですね。

では早速。

以下、引用。

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5.学習目的・理由の概況

▼「マンガ・アニメ・J-POP・ファッション等への興味」
が 66.0%、前回に引き続きトップ▼

2018年度調査において、世界の日本語教育機関が在籍す
る学習者の学習目的・理由として挙げた項目のうち
最も回答多かったのは

「マンガ・アニメ・J-POP・ファッション等への興味」
(66.0%)であり、実に全世界の三分の二の機関が挙げて
いる。

続いて二番目に多いのは「日本語そのものへの興味」
(61.4%)であり、三番目には「歴史・文学・芸術等への
関心」(52.4%)、

四番目には「日本への留学」(46.7%)がきており、ここ
までの順位は前回と同様であった。

今回調査において伸びが大きかったのは五番目の「日本へ
の観光旅行」(41.1%)であり、前回よりも10%ポイント近
く増加する結果となっている。

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数年前の日本語教育能力検定試験に、日本語で
歌ったり、

日本で活躍したりしている外国人アーティスト
の問題が出題され、物議をかもしたことがあり
ました。

「若者のポップカルチャーなんて興味もない。」
「日本語教師はそんなことまで知らなければ
いけないのか。」

そんな声も聞こえてきそうです。

確かにその気持ちもわからないでもないですが、
はなから突っぱねてしまっては、学習者から好感
を得ることはできないでしょう。

年齢や分野に関係なく、いろいろなことに関心や
好奇心を持ち続けるということは、とても大事な
ことだと思います。

とはいえ、じゃあ、学習者の興味の湧きそうな
ことを片っ端から調べる必要があるのか、と言っ
たらそれも間違い。

以前、私のセミナーにご参加なさった方から、

「最近の若い人が読むマンガを、私も一式揃えて
読んだ方がいいのでしょうか。」

というご質問をいただきましたが、その必要は
全くありません。

そもそも市場には何万とマンガがあるわけで、
そんなことをしてもきりがありませんし、
学習者もそんなことを期待してはいません。

ただ、自分たちに興味を持ってもらいたい
だけなのです。

であれば、若い学習者とは世代も趣味趣向も
違うということを逆手にとって、

学習者に、

「最近、どんなマンガが流行ってるの?」

とか、

「へえ、そのゲーム、どこがおもしろいの?」

とか、

「そのアニメ、どんなストーリーなの?」

とか聞けばいいのです。

そうすれば、私たち教師は経費ゼロで最新の
ポップカルチャーの情報を仕入れることが
できるし、

学習者は、自分に興味を持ってもらったこと
で嬉しくなるし、なにより日本語の勉強にな
ります。

この技、なかなか使えますので、ぜひ試して
みてくださいね。


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