『日本語教育の推進に関する基本的方針』を読む(その12)
『日本語教育の推進に関する基本的方針』を読む
の第12回目です。
報告書はこちら。
日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進
するための基本的な方針の閣議決定について:文化庁
https://bit.ly/3hTmIai
今回は、
「第2章 日本語教育の推進の内容に関する事項」
の10回目。
「6 日本語教育に関する調査研究及び情報提供」
についてみていきます。
調査研究はとても地味な活動ですし、情報提供も
新規性に欠けるかもしれませんが、
いずれもプロジェクトを成功させるためには、
とても重要な活動です。
いや、この地道な活動をどれだけしっかり実行
するかが肝といってもいいかもしれません。
では早速。
以下、引用。
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6 日本語教育に関する調査研究及び情報提供
(1)日本語教育に関する調査研究等
我が国に在留する外国人等の増加や海外における日本の
社会や文化への関心の高まり等を背景として日本語学習
者が増加しており,
日本語の学習を希望する外国人等の日本語能力や学習目
的も多様となっていることから,
日本語教育を一層推進するためには,日本語教育の実態
を調査し,課題解決に必要な情報を把握するために必要
な施策を講ずる。
【具体的施策例】
・国内における日本語教育に関する実態調査や,「日本
語教育の参照枠」を検討・作成・活用する際に必要と
なる日本語教育の内容,
ICTを活用した遠隔教育等の効果的な日本語教育の
方法等の日本語教育推進の課題に対応した調査研究を
実施する。
・各国の日本語教育の実態,日本語学習者の学習目的等
を把握しその結果を海外で実施する日本語教育事業の
検討,改善に役立てるほか,
研究者等が日本語教育に関する調査・研究を行う際の
基礎資料として,
また,日本語教育を行う機関及び国際交流団体等が日
本語教育に関する各種事業を実施する際の参考資料と
して,
さらに,日本語教育を行う機関等の情報交換や相互交
流・ネットワーク形成のための参考資料として活用で
きるよう,
JFにおいて,およそ3年間に1度の頻度で海外にお
ける日本語教育を行う機関の調査を行う。
(2)日本語教育に関する情報の提供等
国内外において日本語の学習を希望する外国人等が利用
できる情報は,
例えば,学習用コンテンツであれば制作した行政機関等
のウェブサイト等を通じて公開されているが,
学習希望者や日本語教師,職場等の受入れ側等が効果的
に日本語教育に関して必要な情報を得られるよう,
日本語教育に関する情報を集中的に提供するために必要
な施策を講ずる。
【具体的施策例】
・外国人等が生活していく上で必要となる日本語能力を
身に付けるためには日本語教育環境を強化することが
非常に重要であることから,
日本語教育に関する最新情報・先進事例等を共有する
日本語教育大会や地域日本語教育に関連する諸事業に
おけるシンポジウム等を開催し,
国民に日本語教育の重要性の理解を深めてもらう機会
を提供する。【再掲】
・全国の都道府県,指定都市,中核市等の日本語教育担
当部署の窓口や地域日本語教室の情報の一覧を文化庁
ウェブサイトに掲載する。【再掲】
・日本語教育に関する教材,カリキュラム,報告書,施
策資料等の日本語教育コンテンツを収集し,
横断的に検索できる「日本語教育コンテンツ共有シス
テム(NEWS)」を公開・運用する。【再掲】
・職場で働く外国人等の学習の機会提供につなげるため
に,企業等に対し日本語教育等に関する情報の周知を
検討する。
・外国人等が日本語教育に関して必要な情報を得られる
よう,CEFRを参考にして開発した教材,eラーニ
ングをはじめとするオンラインコンテンツ,
日本語教師のための素材やアイデア等の授業に役立つ
情報,各国における教育制度や日本語をはじめとする
外国語教育の実施状況及び日本語教育を行う機関に関
する調査結果,日本語試験の情報等,
海外において日本語教育に携わる上で参考になる情報
をJFのウェブサイトにおいて随時公表する。
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個人的に注目したいのは、
> ICTを活用した遠隔教育等の効果的な日本語教育の
> 方法等の日本語教育推進の課題に対応した調査研究を
> 実施する。
というところ。
10年前は、まだまだマイナーな研究分野でしたので(涙)。
> JFにおいて,およそ3年間に1度の頻度で海外にお
> ける日本語教育を行う機関の調査を行う。
こちらは、最近直近の調査結果が出ましたね。
第一級資料ですので、絶対に目を通しておきましょう。
2018年度 海外日本語教育機関調査
https://bit.ly/2W1DxGO
こうしたしっかりした基礎資料は、今後の戦略を練る上
でとても重要です。
それから、「具体的施策」で掲げているのは、要は
あっちこっちに散在している情報を集約したポータル
サイトを作ったり、
すでにあるサイトを充実させたりするということです
ね。
例えば、本文中で触れられている「日本語教育コンテンツ
共有システム(NEWS)」は、すでに運用されています。
日本語教育コンテンツ共有システム
http://www.nihongo-ews.jp/
「こんなのはじめて知った!」
という方もいらっしゃるかもしれませんが、ということは
まだまだ広報する余地があるということでもあります。
何をするにも、まずは情報収集。
しっかりアンテナを張っていきましょう(^_^)