全てが気に入らない妻。
その夫婦は、まだ新婚だった。
夫は、流しにたまった食器を見かねて洗い出した。
しかし、洗い物に慣れていなかったせいで、流しの
外まで、洗剤や水が飛び散った。
「やだ、周りに水が散っているじゃないの」
「あ、ごめん。すぐに拭くから」
翌日の夕食。
夫は妻に遠慮して、食器を洗わなかった。
食事を終えた妻は、流し台に汚れたお皿を積み重ねて
いった。
「あっ!」
積み重ねたお皿がバランスを崩し、１枚、大きな音を
立てて割れてしまった。
「あなたが何も手伝ってくれないから、お皿が割れ
ちゃったじゃないの」
「けがはなかったかい？ ぼくも手伝うよ」
「いつ洗ってくれる？ 明日の朝？ 食べたらすぐ洗わ
ないと、お皿にこびりついたソースなんか固まっちゃっ
て、洗剤がたくさん必要になるの」
「わかったよ。これからすぐに洗うから」
「何を、その言い方、私が強制しているみたいだわ」
キッチンの周りには、あちこちに鏡がかけてあった。
妻は怒るたびに鏡に映った自分の顔を見ていた。
「夫のせいで、私は今日もなんて嫌な顔をしているのかしら。
こんな顔をしているから、だんだん人相が悪くなっていく
んだわ」
妻は鏡に映る自分を見るたびに、何度も愚痴をこぼした。
その後も、妻は夫が何をしても文句を言った。
そんな毎日は変わらず、やがて２人は離婚したのだった。
◆ ◆ ◆
出典はこちら。
廣川州伸『仕事に効く人生に役立つ 大人のための｢寓話｣50選』
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哲学者ニーチェの言葉に、
「世の中に事実はない。あるのは解釈だけだ。」
というのがあります。
もしも、
「どうしてこうも、うまくいかないことが続くんだろう。」
「どうして、私の人生、思いどおりにいかないんだろう。」
と思っているのだとしたら、それは決して
「うまくいっていない」
のではなく、
「うまくいっていない」と解釈しているからであり、
「思いどおりにいっていない」
のではなく、
「思いどおりにいっていない」と解釈しているからでは
ないかと、考え直してみてはいかがでしょうか。
そもそも、物事や現象というものには、いいも悪いもなく
ただ物事や現象が起こっているにすぎません。
それをどう評価するかは、その人次第なのです。
例えば、先の妻にしても、洗い物に慣れない夫の様子を
見て、
「下手くそ！！」
と解釈すれば、
「私は、なんて家事もろくにできない不器用な男を夫に
持ってしまったんだろう。」
と、後悔の念しか起こりませんが、
「慣れない仕事なのに、私を気遣ってやってくれている
んだわ。」
と解釈すれば、
「私は、なんて幸せ者なのかしら。」
と、幸福感に満たされるに違いありません。
繰り返しになりますが、目の前の物事や現象には、そも
そもいいも悪いもありません。
それをどう評価するかはその人次第であり、それに
よって世の中の見え方ひいては人生そのものが大きく
変わるのです。
また、愚痴や不平、不満を言うのは、とりもなおさず
その相手に大いに依存している証。
依存して、期待通りの動きをしてくれないから愚痴や不平、
不満が出るのです。
物心両面で自立していれば、そもそも愚痴や不平、不満など
出ようはずがありません。
そう考えれば、愚痴や不平、不満を口にするというのは、
「私は、誰かに依存しないと生きていけない未熟者です。」
と公言しているようなものです。
私自身、そのことに気がついてから、愚痴を一切やめました。
愚痴る暇があったら、その分知識でもスキルでも身につけ、
自分を向上させ、なんでも自分でできるように努めたほうが、
よほど気が楽だし、人生にプラスになるからです。
例えば、今、篠研サイトは何らかの理由でダウンしています。
不幸と言えば、不幸です。
ですが、私は、
「これは、私の価値が世間に認知されてきた証拠であり、
篠研がこれから大きく飛躍する予兆。
これから大きく羽ばたく前に、
『今のうちにセキュリティを強化しておけ。
そうしないと、スケールした後に何者かに
ハッキングでもされたら、それこそ大きな
損失だぞ。』
という神の思し召しにちがいない。ありがたい。」
と受け止めています。
実際、そのようにアドバイスしてくださる方もいらっしゃ
います。
また、今回の件で、私自身、ネットセキュリティに関する
さまざまな知識やスキルを身につけることができましたし、
今年度中に大きくスケールする自信もつきました。
そうすると、
「サイトで集客できなくても、メルマガがあるじゃないか。」
「サイトが復活したら、復活祭と称して割引セールをしよう。」
など、いくらでもビジネスのアイデアが沸いてきました。
大きくジャンプするためには、一度しゃがまなければならない。
すべては本人の解釈次第なのです。