検定試験試験IIIで得点できない本当の理由。
検定試験受験予定の方の中には、
「私、まだ現場に立ったことがないから
試験IIIが苦手。
どうしても点が取れない。」
という方がいらっしゃいます。
実は、その認識は間違っています。
いわゆる「誤った原因帰属」ってやつですね。
確かに、試験IIIではより現場に直結した問題が
出てきます。
授業実施問題などはその典型ですね。
そういう問題を見て、実際に得点できないと、
「私、まだ現場に立ったことがないから
試験IIIが苦手。
どうしても点が取れない。」
と、どうしても思いたくなる。
ですが、その一方で、
試験IIIの平均点を調べてみると、
現場経験のない主婦の方のほうが、現場経験者の
より高いというデータもあります。
つまり、一概に経験の有無が得点に関係するとは
言えないということなんですね。
では、試験IIIで得点できない本当の理由は何か。
それは、試験の「測定内容」を見ると見えてきます。
令和2年度日本語教育能力検定試験実施要項
http://www.jees.or.jp/jltct/pdf/2020_jltct_guide.pdf
検定試験実施要綱によると、試験Iは、
「原則として,出題範囲の区分ごとの設問」
とあります。
こちらは区分ごとの設問ですから、検定試験の
テキストを頭から読んで理解していけばなんとか
なります。
一方、試験IIIは、
「原則として出題範囲の区分横断的な設問」
とあります。
例えば、
文法と音声
語用論的規範と実習
異文化コミュニケーションと談話理解
記憶の仕組みと学習ストラテジー
などなど。
つまり、区分をまたいで出題される、
言い換えれば、個々ばらばらに見える各区分の
関係性が出題されるということなのです。
出題範囲の中の膨大な知が、脳内でちゃんと
ネットワークを張っているか
が問われるのです。
これは、ただテキストを一通り頭から読んだ
だけでは身につきません。
では、ネットワークを張るためには
どうしたらいいか。
そのためには、出題範囲を繰り返し繰り返し
難度も勉強し、その中で、
「そういえば、今勉強している●●●は、
以前勉強した▲▲▲とつながってるなぁ。」
という気づきをたくさんする必要があるのです。
繰り返しますが、こうした気づきを得るためには、
通り一遍の学習ではとても実現できません。
まだ目先の知識を学ぶのにいっぱいいっぱい
だからです。
逆に言えば、試験IIIが苦手だという方は、
「そもそも手元のテキストを最低でも5回
繰り返し反芻したか。」
と自問してみてください。
それが、試験IIIで得点できない本当の理由
ではないかと推測しますが、いかがでしょうか。