バブル期の新卒ブランドを捨て敢て茨の道を進んだ男の話(その11)

5~6年かけて日本語能力試験N1対策のための
eラーニングコンテンツを開発し、

それを使って大学で教育活動を行い、
その成果を論文にしてまとめることで、

教育と研究の両立を果たすことができました。

次は、いよいよビジネスへの進出です。

ここで私が一番考えたのは、

【見栄を張らずに、一点に集中して、小さく
始めること。】

そして、

【売上を上げることよりも、経費を極限まで
抑えること。】

さらに、

【収益ははじめは小さくとも、確実に逓増し
続けるビジネスモデル】

でした。

これは、今でも正解だと思っています。

たまにいるのが、大きな夢を抱いて
(これ自体はいいことだし、やるべき)

最初から多角経営、ビッグビジネスではじめ
ようとして、

設備投資やら事務所開設やら、スタートから
結構なお金を突っ込み、

かなりのマイナスからスタートするパターン。

これだと、まずはマイナスをゼロにすること
がすべてに先行してしまい、

やりたくない仕事も無理して受けなければ
なりません。

また、新規ビジネスが軌道に乗るまでには
相当の時間(通常1年から3年)がかかり
ます。

そもそもビジネスが成功する保証はどこにも
ありません。

そのため、軌道に乗るまで常に借金のことが
頭から離れず、精神的にもかなりきつい。

そして、最悪そのプレッシャーに耐えられず
に借金だけ残して自滅。

そこで、私は事業を作り上げる上で意識した
のは、

ビジネスモデル構築の過程の試行錯誤で多少
失敗しても、

自分の中で解消できるくらいのスモールビジ
ネスから始めること。

仕事はすべて自分のパソコンの中で完結し、
多少書籍の購入等はあっても、それ以外の経費
はかけなくても済むビジネスモデルであること。

(その代わり自分の労働はゼロでもよし。)

ビジネスセンスがなくても、続けていれば
自然と顧客がついて、少しずつ収益が上がる
ビジネスモデルであること。

売上額よりも利益(要は黒字化)を重視。

でした。

そこで私が考えたのは、

▼無料メルマガで集客し、

▼メルマガを通じて読者の信頼を獲得しながら、
読者を教育し、見込み客に育て、

▼購買意欲が高まった読者から順次、eラーニン
グコースの申込サイトに誘導し、

▼クロージングする

というものです。

これは、2000年初頭のネットビジネスが盛んに
なったときに言われていた、当時ちょっと進んだ
ビジネスモデルでした。

しかも、これだとネット上のさまざまなツールや
プラットフォームを利用すると、

手元にパソコンさえあれば、ほとんど経費をかけ
ずに実装できます。

経費がほとんどかからないわけですから、
売上はほぼほぼ利益。

これは、精神的にかなり楽です。

しかも、私はeラーニングを開発する少し前から
日能試N1受験者を対象に

「日本語能力試験N1対策文法」

という名のメルマガをメルマガ配信スタンド
「まぐまぐ」から配信していました。

まぐまぐ
https://www.mag2.com/

まぐまぐでは、簡単な審査を通れば誰でも
メルマガを配信することができます。

当時、メルマガという媒体自体が出たての
ころで、多くの人がこぞってメルマガ登録
をしていました。

私もその波に乗り、メルマガを発行し、集客と
見込み客の獲得に勤しんだわけです。

そのころ、外国人向けのメルマガなど少なかった
こともあって、数百人の読者がつきました。

このメルマガもそこそこ人気があって、読者から

「篠崎先生のメルマガで、日本語だけでなく
人生の勉強もできました。」

なんていうお便りもいただいていました。

後は、申込用の無料ブログサイトを立ちあげ、
メルマガから誘導してクロージング。

そして、申し込みがあれば、個別にメールを
送って、口座案内を出すと。

以上、すべてパソコン上で完結。

大学の研究室で仕事をするので事務所の家賃
も、光熱費もゼロ。

物販ではないので、在庫ゼロ。

私一人なので、人件費もゼロ。

ですが、結果から言うと、このビジネスは
ほとんど売り上げが立たず、失敗に終わり
ました。

そこで、私はこのビジネスに見切りをつけ
メルマガの発行も辞めました。

「この5~6年の苦労はいったい何だったんだ。」

正直、ガックリ来ました。

思うに、こうなった一番の理由は、メルマガ
という文字による説明では、

日本語非母語話者である学習者に対して
訴求力が弱かったからです。

eラーニングの良さが直感的に伝わらなかった。

そのため、みなメルマガで止まってしまい、
購買までつながらなかったんですね。

やはり、学習者には文字ではなく映像です。

それから私は、

「外国人より日本人のほうが、ビジネスが
しやすいのではないか。」

と思い、

日本語教育能力検定試験対策eラーニングコンテンツ
開発に、大きく舵を切ることになるのです。

ただ、その時の経験があったおかげで、最近
日本語学習者向けのYouTubeチャンネルを
立ち上げ、

日本語能力試験N1合格への道-My Road to pass JLPT-N1-
https://www.youtube.com/user/SHINOZAKIDAISI

N1対策コンテンツの紹介を始めたところ、
早速、タイや国内から注文が入りました。

こちらも定期的に動画をアップし、じっくり育てて
いきたいと考えています。

そう考えると、過去の一時的な失敗も、実は未来の
成功への伏線であると思えて仕方ないのです。


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