バブル期の新卒ブランドを捨て敢て茨の道を進んだ男の話(その6)
大学に転職して、最初の7年間ほどは
ただがむしゃらに仕事をしていました。
ですが、7年ほどたったころから、
「自分には軸になる研究がない。」
ということに漠然と悩むようになりました。
要は研究テーマが見つからないのです。
もちろん当時は落ち着いて研究する暇もなかっ
たわけですが、
とはいえ、このままではまずいと思い始める
ようになりました。
研究実績を積み上げていかなければ、昇進も
難しいし、
さらに転職しようと思っても、採用は無理。
これでは、日本語学校でやっていたことと
ほとんど変わりません。
その上、当時は18歳人口がこれから坂を転がる
ように減っていくと、いたるところで話題に
なっていた時でした。
「地方の私大に身を置いても、何とか身を
立てる方法はないか。」
いろいろ考えていたところ、たまたま「ブログ」
というものを知りました。
当時は、ウェブ2.0といってネット上で双方向
コミュニケーションができる環境ができ、
個人でもホームページやその簡略版であるブログ
が流行っていたのです。
「なるほど!これなら地方も都会も関係ない!
これからは個人で情報発信する時代だ!」
ただ、その時の私のITリテラシーのレベルは、
「ブログって、何?お金かかるの?」
という地べたレベル(爆)
それでも、
「これをモノにしなければ、未来がない。」
と思い、seesaaブログやらlivedoorブログやら
とにかく無料のブログサービスを使って山ほど
ブログサイトを作り、情報発信しました。
正直言うと、ブログアフィリエイトをして、
小遣い稼ぎをしようと、せこいことも考えて
いたわけです。
ですが、経済的にはほとんど成果はありません
でした。
ただやたらに情報発信しても、その情報に一貫
したテーマや主義主張がなければ、
さして読者もつかず、購買には繋がらないのです。
なので、ブログ作成は2~3年で辞めました。
ですが、この経験のおかげで、私はホームページ
の仕組みを知ることができましたし、
htmlのタグを使ってホームページを自分で作る
スキルも身につきましたし、
文章力も以前に比べて格段に上がりましたし、
(もともと超作文苦手少年だったので、
所詮この程度ですが)
ブランディングの重要性も身に沁みて学ぶことが
できましたし、
そして何より、「学ぶことの大変さ」より「学ば
ないことのリスク」の方が、変化の激しい今の時代
では、よりリスキーであるということを学びました。
この後、私はメルマガと出会い、
【セルフブランディング】と【パーソナルメディア】
の構築に没頭、
さらに、その後、eラーニングと衝撃的な出会いを
するわけですが、
ブロガー時代に身につけたICTスキルは、今の自分を
今でも大きく支えてくれています。
この時の経験がなかったら、間違いなく今の自分は
ありません。
人は得てして、学ばなくても済むのであれば、苦労
してまで学ぼうとは思いませんし、
学ぶにしても、すぐに役立つ知識とスキルを求めて
短期的な勉強にはらはらとなびきがちです。
ですが、残念ながら、「学ぶことの大変さ」より
「学ばないことのリスク」の方が、変化の激しい
今の時代では、よりリスキーです。
例えば、コロナウィルスが猛威を振るう今でも
オンライン教育を学んでいなければ、ZOOMなり
なんなりオンライン教育の方法を学んできた人
に比べて、
勤務校から雇止めに遭って、無職になるリスクが
高いわけです。
(逆に、オンライン教育の方法を学んできた人は、
今は大きなビジネスチャンスですよね。)
また、もちろんすぐに役立てばそれに越したこはあり
ませんが、
今すぐ役に立つめどがないから、あるいは自己投資
した割に思ったような成果がでないからといって、
「一生懸命やって損した。」
「時間もお金も無駄になってしまった。」
などと思う必要はまったくありません。
またいつか巡り巡って自分の人生に役に立つときが
来るからです。
一生懸命時間と労力をかけて知識やスキルを身につけ
ると、
その知識やスキルだけでなく、いつの間にかその周辺
の知識やスキルも身につき、
気がついたら、結構なボリュームの知的体系を身につ
けることになるのです。
それが、先々の人生で何かの拍子にポコッと顔を出して
自分を助けてくれるのです。
すくなくとも、ある一時期一生懸命没頭したという
経験が、その後の人生を大きく支えるはずです。
私が本学に来た時の、漢文学が専門の学科長が常々、
「いつ役に立つかわからないけれど、
いつか必ず役に立つ知識を身につけるのが
大学というところだ。」
と言っていましたが、まさしくその通りで、
知識というのは、そういうものだと思うのです。