「総合的対応策(改訂)」を読む(13)。
「総合的対応策(改訂)」を読む。
今回は、13回目。
「総合的対応策(改訂)」とは、下記報告書
を言います。
「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)」
http://www.moj.go.jp/content/001311603.pdf
今回は「II 施策」のうち、
「3 生活者としての外国人に対する支援」
の6回目。
「(6) 適正な労働環境等の確保 」
です。
外国人労働者というのは、体が動きこそすれ、
言語的にも文化的にも、大きなハンデを背負って
いるのが一般的です。
言葉ができなければ、上司や同僚の言うことも
理解できませんし、情報収集もままなりません。
文化が違えば、先々のことをうまく予測して
行動するということができませんし、
日常的にカルチャーショックをつけ続け、
精神的に追い込まれることも少なくありません。
ですので、本来であれば、受け入れる日本人が
そうしたことを十分考慮して、
受入れる以上、さまざまなサポートをする必要
があるのです。
ましてや、そんなハンディに付け込んで、不当
な契約の下で働かせるなどもってのほかです。
さて、国はどのような形でサポート体制を敷こう
としているのでしょうか。
それでは、早速見ていきましょう。
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(6) 適正な労働環境等の確保
1.適正な労働条件と雇用管理の確保、労働安全衛生の
確保
【現状認識・課題】
外国人労働者についても、日本人労働者の場合と同様、
適正な労働条件等の確保が極めて重要であるが、
外国人労働者は、日本の労働関係法令等に関する知識が
十分でない場合も少なくなく、
そのこともあって、労働条件等に関する問題が生じやす
いといえる。
そのため、労働基準監督署等の関係機関において、外国
人を雇用する事業主に対する指導や相談支援を更に推進
するなど、
適正な労働条件と雇用管理の確保、労働安全衛生の確保
に努めていく必要がある。
【具体的施策】
○ 労働基準監督署において、事業主に対する労働関係
法令の遵守に向けた周知等を行う。
また、ハローワークにおいて、事業主に対する外国人の
雇用状況届出制度や外国人雇用管理指針の周知・啓発、
雇用管理セミナーの重点的な開催等、雇用管理改善に向
けた相談・指導等の充実を図り、外国人の職場定着を支
援する。
さらに、外国人労働者の適正な労働条件と雇用管理の確
保のため、必要な体制整備を図る。
〔厚生労働省〕《施策番号 123》
○ 技能実習制度については、依然として多くの不正行為
事案が発生している状況にあり、
外国人技能実習機構の実地検査の能力を強化するために、
出入国在留管理庁が把握している技能実習生の情報を共有
するなどの措置を講ずる。
外国人技能実習機構の母国語相談窓口の拡充等により、技
能実習の不適正な実施等に関する実習生からの情報を収集
する能力を高め、
効果的な実地検査につなげる体制を強化する。
また、技能実習生においても技能実習制度に関する理解や
日本で生活する上で必要な情報の入手が行えていない場合
もあることから、
入国時に配布している技能実習生手帳についてアプリ化す
ることで、技能実習生に対して新たに周知すべき情報等に
ついて随時提供すること等を可能とし、
技能実習生が技能実習に専念できるよう、その保護を図る。
〔法務省、厚生労働省〕《施策番号 124》
○ 我が国の安全衛生対策に関する知識が乏しく、あるい
は日本語に不慣れな外国人労働者が少なくないことに鑑み、
外国人労働者向けの外国語による安全衛生教材や外国人労
働者を雇用する事業主向けに、
特定技能外国人の受入れ分野(14 分野)等に対応する安全
衛生教育用視聴覚教材を開発するとともに、
関係省庁、業界団体等に対してそれら視聴覚教材の活用方法
等を周知するほか、
視聴覚教材等を用いて外国人労働者に理解できる安全衛生教
育を実施するよう事業主を指導・支援する。
視聴覚教材については、現在、日本語を含む 11 言語で作成
しているところ、対応言語を拡充して 14 か国語対応とする
ほか、VR 技術等を用いた危険体感教育用教材を作成する。
併せて、危険有害業務に係る補助教材等の充実を図るなど、
外国人労働者の労働災害の防止対策のためのツールを充実・
強化する。〔厚生労働省〕《施策番号 125》
○ 都道府県労働局や労働基準監督署に設置している「外国人
労働者相談コーナー」、同相談コーナーに来訪できない方へ
の「外国人労働者向け相談ダイヤル」、
労働基準監督署の閉庁時間に労働相談を受け付ける「労働条
件相談ほっとライン」のそれぞれについて、
対応言語を現行の9か国語から 14 か国語に拡大する(日本
語を含む)。〔厚生労働省〕《施策番号 126》
○ 事業主と外国人労働者の意思疎通を促進し、外国人労働
者の職場定着のための事業主の取組を支援するため、以下の
措置を講ずる。
・ 労働条件等に関する事業主と外国人労働者の間のトラブ
ルの発生予防に資するよう、
労働契約等で使用頻度の高い単語や例文を各国語に翻訳した
多言語辞書を作成し、事業主や外国人に周知する。
・ 外国人が自らの労働条件等を十分に理解し、適正な待遇の
下で安心・納得して就労を継続し、
その能力を発揮することができるよう、外国人特有の事情に
配慮した事業主の雇用管理改善の取組に対する助成措置を新
設する。
・ 外国人就労・定着支援研修事業の知見を基に外国人労働者
の職場定着のための研修のモデルカリキュラム(仮)を作成し、
外国人を雇用する企業等へ周知する。
<再掲>〔厚生労働省〕《施策番号 120》
○ 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)及び総合労働相
談コーナーにおいて、新たに「多言語コンタクトセンター」(電
話通訳)の活用等により、
職場におけるハラスメントや解雇等のトラブルに関する相談
対応等の多言語化を図る。〔厚生労働省〕《施策番号 127》
○ 事業者から所轄の労働基準監督署長に報告される「労働者
死傷病報告」の情報等から外国人労働者の労働災害の傾向、原
因等を分析し、今後の労働災害防止対策に活用する。
〔厚生労働省〕《施策番号 128》
2.地域での安定した就労の支援
【現状認識・課題】
在留外国人の増加やその多国籍化・多言語化に伴い、ハロー
ワークにおける相談対応の多言語化を図ることが求められてい
るとともに、
それらの外国人について、円滑な就職活動を可能とし、その就
労の安定を図ることが必要とされている。
また、前記のとおり我が国での就職を希望する留学生に対し、
より一層の就職支援が必要である。
【具体的施策】
○ 多言語コンタクトセンターの対応言語について、3か国語を
新たに追加し 14 か国語とすることで機能強化を図る。
また、通訳員を配置しているハローワークについて、各地域の実
情を踏まえ、対応言語の追加の検討を行うほか、
多言語翻訳システムについて試行的に導入しその効果を測定する
ことにより、ハローワークにおける相談体制等の更なる整備を図
り、円滑な就職支援を実施する。〔厚生労働省〕《施策番号 129》
○ 特定技能外国人を含む外国人材の地域での安定した就労が確
保されるよう、身近な地域での就職を希望する場合には、
地域のハローワークにおいて、多言語対応(14 か国語)により、
地元企業の情報や外国人が応募しやすい求人情報の提供を行うな
ど、
できる限り本人の希望に沿った就職が可能となるよう支援を行う。
〔厚生労働省〕《施策番号 130》
○ 外国人雇用サービスコーナー等において、専門相談員の配置
による職業相談や、定住外国人等が応募しやすい求人情報の提供、
地方公共団体が設置する一元的な窓口との連携等により、安定的
な就労の促進及び職場定着を図る。
また、定住外国人等を対象とした、日本の職場におけるコミュニ
ケーション能力の向上やビジネスマナー等に関する知識の習得を
目的とした研修事業(外国人就労・定着支援研修事業)について、
実施地域及び対象者数の拡充を図る。
〔厚生労働省〕《施策番号 131》
○ 定住外国人を対象とした、日本語能力に配慮した職業訓練を
実施するほか、
都道府県等の実情に応じ、定住外国人職業訓練コーディネーター
の配置を進める。
また、好事例の収集及びその周知等を図ることで日本語能力に配
慮した職業訓練の実施を希望する地方公共団体を支援する。
〔厚生労働省〕《施策番号 132》
○ 人材開発支援助成金制度の周知・広報を図り、外国人を含む
労働者の職業訓練等に取り組む事業主等を支援することにより、
その労働者のキャリア形成を促進する。
〔厚生労働省〕《施策番号 133》
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こうしてみてみると、ハローワークをフル活用するような
印象を受けます。
私たち日本語教師にとって、ハローワークはあまりなじみの
ないところかもしれませんが、
今後はこうしたところで活動することも出てくるかもしれ
ませんね。
ただ、外国人労働者との共生を成功させるために一番重要な
のは、国の施策でもなければ、企業のコンプライアンスでも
なく
私たち一人一人のモラル。
金八先生の言葉ではありませんが、
「我も人なり、彼も人なり。」
の精神で接したいものだと思います。
皆さんは、どうお考えになりましたでしょうか。