「総合的対応策(改訂)」を読む(11)。
「総合的対応策(改訂)」を読む。
今回は、10回目。
「総合的対応策(改訂)」とは、下記報告書
を言います。
「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)」
http://www.moj.go.jp/content/001311603.pdf
今回は「II 施策」のうち、
「3 生活者としての外国人に対する支援」
の4回目。
「(4) 外国人の子供に係る対策」
です。
日本語教育の世界でも、増加する外国人児童生徒の
サポートの充実が大きな課題となっています。
日本語指導はもちろんのこと、その全段階である
適応教育、さらに、教科指導、進路指導まで。
本当に問題山積です。
こうした大きな課題に対して、国はどう向き合おうと
しているのか。
そのあたりも本報告書を見ながら探っていければと
思います。
それでは、早速見ていきましょう。
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(4) 外国人の子供に係る対策
【現状認識・課題】
外国人児童生徒に対する教育は、外国人児童生徒の日本
における生活の基礎となるものであり、
その一人ひとりの日本語能力を的確に把握しつつ、きめ
細かな指導を行うことにより、
外国人児童生徒が、必要な学力等を身に付けて、自信や
誇りを持って学校生活において自己実現を図ることがで
きるようにしなければならない。
しかし、公立学校においては、日本語能力を十分に有し
ていないにもかかわらず、
特別の配慮に基づく指導を受けられていない外国人児童
生徒が約2割という実態があり、
外国人児童生徒の人数に応じた教員等の数を確保すると
ともに、教員等の資質・能力の向上を図ることが必要不
可欠となっている。
また、外国人の高校生等について、学校生活への不適応
や学習意欲の低下、生徒が問題を相談できる体制が不十
分であること、
生徒自身が将来のビジョンを持てないこと等による中退
等の課題も存在している。
【具体的施策】
○ 外国人の妊産婦が、日本において母子保健情報を円
滑に入手し活用することで安心して出産・子育てが出来
るように、
母子保健の入り口である母子健康手帳を多言語化し、そ
れを活用した効果的な支援方法等について調査研究を行
い、
今後、自治体へ周知する。〔厚生労働省〕《施策番号 90》
○ 保育所保育指針(平成 29 年厚生労働省告示第 117 号)
等における保育所等における外国籍の子どもへの配慮や
保育所等から小学校への切れ目のない支援について、
地方公共団体に改めて周知を行い、保育所等において、
外国籍家庭等に対する適切な支援が行われるよう引き続
き要請する。
また、平成 30 年9月 14 日に公表した「新・放課後子
ども総合プラン」における基本的な考え方や学校・家庭
との連携について、
地方公共団体に対して改めて周知し、放課後児童クラブ
において、外国人児童に対する適切な対応がなされるよ
う引き続き要請する。〔厚生労働省〕《施策番号 91》
○ 調査研究を実施し、外国人比率の高い地方公共団体
を中心に、
市町村や保育所等における、外国籍等の子どもやその保
護者への配慮に関する取組の収集、ヒアリング等を行い、
地方公共団体における外国籍等の子どもの受入れの支援
体制を把握し、
保育所等における外国籍等の子ども・保護者への対応に
ついて取組事例を収集した上で、好事例等の横展開を引
き続き行う。〔厚生労働省〕《施策番号 92》
○ 公立学校において、令和8年度には日本語指導が必
要な児童生徒 18 人に対して1人の教員が基礎定数とし
て措置されるよう、
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に
関する法律(義務標準法)の規定に基づいた改善を着実
に推進する。
また、各地域における関連部署・団体等による支援の状
況等も踏まえつつ、
日本語指導補助者や母語支援員の活用等の指導体制の構
築や、日本人と外国人が共に学び理解し合える授業の実
施、
きめ細やかな指導を行うための多言語翻訳システムや遠
隔教育といったICTを活用した支援等、
各地方公共団体が行う外国人児童生徒等への支援体制の
整備に対する支援を実施する。
その際、母語・母文化の重要性に配慮するとともに、各
地方公共団体におけるNPOや企業等を含む幅広い主体
との連携も促進する。
また、中央教育審議会において、これら現状の施策を踏
まえつつ、増加する外国人児童生徒等への教育の在り方
について検討を進める。〔文部科学省〕《施策番号 93》
○ 教育委員会・大学等が実施すべき研修内容等をまと
めた「モデル・プログラム」の開発・普及を通じて、
日本語初期指導、中期・後期指導、JSLカリキュラム
による指導等の系統的な日本語指導を実践するための体
制を整備し、
日本語指導を担う中核的教師の養成等、外国人児童生徒
等教育を担う教員等の資質能力の向上を図る。
また、各地方公共団体における教員等の研修の促進に資
するよう、
独立行政法人教職員支援機構における「外国人児童生徒
等に対する日本語指導指導者養成研修」により研修指導
者を養成するほか、
各地方公共団体が実施する研修への指導者派遣等を行う
取組、同機構が提供する校内研修向けの講義動画の周知
等を行う。
あわせて、外国人児童生徒等に対して指導を行う教員
や日本語指導補助者の確保・資質向上について、
多様な人材の確保や全国的な研修機会の確保という観点
も踏まえつつ、有効な方策について検討を行う。
〔文部科学省〕《施策番号 94》
○ 外国人生徒等の進学状況、中退率、進路状況等に関
する実態を踏まえ、中学校・高等学校において将来を見
通した進路指導が提供されるよう、
日本語指導の充実、キャリア教育等の包括的な支援を進
める。
公立高等学校入試における帰国・外国人生徒等への特別
な配慮(ルビ、辞書の持ち込み、特別入学枠の設置等)
について、
地域の実情に応じて充実が図られるように促す。
〔文部科学省〕《施策番号 95》
○ 外国人児童生徒の就学機会が適切に確保されるよう、
多言語化にも対応した、
地方公共団体における就学案内の徹底や就学ガイドブッ
クの作成・配布等による就学促進のための取組、
学校外での就学状況も含めた外国人児童生徒の就学実態
の把握に係る取組の促進を図る。
また、「外国人の子供の就学状況等調査」(令和元年9
月)により把握した就学状況に係る課題の整理や好事例
の普及を行うとともに、
地域の実情に応じて、外国人学校、NPO等の多様な主
体が外国人の子供の学びの受け皿となっていることを踏
まえ、
これらが地方公共団体と連携し、就学状況の円滑な把握
や就学促進につながるよう支援を充実する。
さらに、就学に関する情報提供を市区町村の教育委員会
が住民基本台帳担当部署等と連携して行う等、
地方公共団体の関係部局や関係機関による一体的な取組
を促進する。〔文部科学省〕《施策番号 96》
○ 日本の義務教育を修了し高校卒業後に就労を希望する
外国人の日本社会への定着が円滑に行われるよう、
必要な在留資格の明確化等について関係省庁と共に検討
を行う。〔文部科学省、法務省〕《施策番号 97》
○ 補導の対象となった外国人少年について、非行を防
止するため、日本人と同様、必要に応じて保護者同意の
下、継続補導を実施するとともに、
大学生ボランティア等と連携し、学習支援活動や居場所
づくり活動等に取り組み、外国人少年の健全育成を図る。
〔警察庁〕《施策番号 98》
○ 言語、母国の教育制度や文化的背景や家庭環境に留
意し、適切に障害のある外国人の子供の就学先の決定が
行われるよう、
地方公共団体への周知を行うとともに、就学先の相談に
当たって多言語化に対応した翻訳システムの活用を推進
する。
特別支援学校等においても、日本語指導補助者や母語支
援員等の配置に努めるほか、
特別支援教育、日本語指導の担当教師が、それぞれ日本
語指導、特別支援教育についても学ぶことのできる研修
の機会等の充実を図る。
あわせて、発達障害の可能性のある外国人の児童生徒に
対する学校における合理的配慮の在り方について実践研
究を行い、その成果を普及する。
また、子育てや就学に関する相談窓口等について外国人
の保護者も対象に分かりやすく積極的な情報発信に努め
る。〔文部科学省〕《施策番号 99》
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こうして読んでみて率直に思ったのは、
実行するには、相当の人手が必要だということと。
そして、ミッションを遂行する人材の人材育成が
成否を大きく左右するということ。
そう考えると、「予算がないからボランティア」
をいう従来の発想では難しく、
しっかりお金をかけて人材育成をし、有償にして
でも責任ある仕事をしてもらうことが、重要なんじゃ
ないかなと感じました。
皆さんは、どうお考えになりましたでしょうか。