「総合的対応策(改訂)」を読む(9)。
「総合的対応策(改訂)」を読む。
今回は、9回目。
「総合的対応策(改訂)」とは、下記報告書
を言います。
「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)」
http://www.moj.go.jp/content/001311603.pdf
今回は「II 施策」のうち、
「3 生活者としての外国人に対する支援」
の2回目。
「(2) 生活サービス環境の改善等」
の2回目です。
前回は医療関係を中心に見ていきましたが、医療の
問題がひとまず片付くと、今度気になるのが安全対策や
生活上の問題解決。
交通安全や防犯、住居の問題、お金の問題。
つくづく心配事は絶えません。
では、早速続きを見ていきましょう。
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3.交通安全対策、事件・事故、消費者トラブル、法律
トラブル、人権問題、生活困窮相談等への対応の充実
【現状認識・課題】
在留外国人の増加を踏まえ、外国人が関係する交通事故を
防止する等の観点から、
外国人が日本の交通ルール・マナーを的確に理解できる
ようにするための取組を推進していくこと等が必要である。
また、在留外国人の増加に伴い、外国人が犯罪に巻き込ま
れたり、外国人コミュニティ等が犯罪組織等に悪用されたり
することも懸念されることから、
外国人に対する防犯対策を通じて外国人の防犯意識の醸成等
を図る必要がある。
さらに、在留外国人や訪日外国人旅行者の増加に対応し、消
費者トラブル、法律トラブル、人権問題等にも適切に対処す
る必要がある。
【具体的施策】
○ 関係機関との連携の下、交通安全教育や交通安全について
の広報啓発活動等を通じて、外国人の間にも日本の交通ルール
に関する知識を普及させることにより、交通事故の防止を図る。
外国人向けの運転免許試験手続に関する警察庁ウェブサイトの
拡充等、広報啓発活動を充実する。
また、外国の運転免許を日本の運転免許に切り替える際に行う
知識確認について、やさしい日本語対応のほか、更なる多言語
化を進めること、
運転免許を新規に取得する際の学科試験において多言語化を進
めること等について、地域の実情等に応じて対応するよう全都
道府県警察に要請する。
あわせて、外国語の問題例について警察庁で作成することを検
討する。
さらに、偽造運転免許証を用いた日本の運転免許証の不正取得
事案を防止するため、
外国の運転免許制度に係る情報収集を強化する。
〔警察庁〕《施策番号 68》
○ 外国人からの 110 番通報に迅速・的確に対応できるよう、
全都道府県警察において整備している三者通話システムの活用を
推進するとともに、
事件・事故等の現場における外国人との円滑なコミュニケーショ
ンを支援するため、多言語翻訳機能を有する装備資機材を令和元
年度中に導入し、運用を開始する。
また、外国人が刑事手続の当事者となった場合において、引き続
き、適切な通訳の確保を図る。
加えて、検察庁に来庁等する外国人との円滑なコミュニケーショ
ンを支援するため、多言語自動音声翻訳機器の整備を検討する。
〔警察庁、法務省〕《施策番号 69》
○ 通訳人を同行した巡回連絡の実施、外国人に対する 110 番通
報講習や防犯教室の開催、自主防犯団体との合同パトロールの実
施等防犯対策の充実を図り、
関係行政機関等とも連携しつつ、外国人が犯罪被害者となること
や外国人コミュニティ等に対する犯罪組織の浸透の防止等を図る。
〔警察庁〕《施策番号 70》
○ 消費者トラブルについて、外国人が安全・安心な利用・契約
等をすることができるよう、
「地方消費者行政強化交付金」による支援を通じて、消費者ホッ
トライン 188 を通じた全国の消費生活センター等における消費
生活相談について、
地域の実情に応じて多言語対応の充実を図るほか、国民生活セン
ターが設置した電話相談窓口「訪日観光客消費者ホットライン」
において多言語対応を推進し、
8か国語を目途に対応の拡大を目指す。〔消費者庁〕《施策番号 71》
○ 法律トラブルについては、日本司法支援センター(法テラス)
における通訳業者を介した三者間通話により法制度や相談窓口等の
情報提供を行う「多言語情報提供サービス」(10 か国語)について、
より一層外国人利用者への適切な対応に努めるとともに、在留外
国人の多国籍化に対応した言語数の確保等更なる利便性の向上を
図るほか、
民事法律扶助を含めた法テラスの多言語での法的支援について、
適切な実施と積極的な周知・広報を行う。〔法務省〕《施策番号 72》
○ 日本語を含めて 11 か国語で多言語対応している法務省の人
権擁護機関における人権相談や調査救済手続について、
引き続き外国人が多く利用するコミュニティサイト等の媒体に広告
を多言語で展開するなどして、人権問題が生じた場合に外国人が幅
広く安心して利用できるよう更なる周知を図る。<再掲>〔法務省〕
《施策番号7》
○ 失業等による経済的困窮や言語・習慣等の違いによる地域社会
からの孤立等に対する支援ニーズに対応するため、
地域の実情に応じて、生活困窮者に対する相談窓口への通訳の配置
や、外国人をサポートする団体等との連携を図るなど、外国人の状
態に応じたきめ細かな支援を行う。〔厚生労働省〕《施策番号 73》
4.住宅確保のための環境整備・支援
【現状認識・課題】
外国人が我が国で生活していくためには、住宅の確保が極めて重要
であり、
公営住宅や民間賃貸住宅等について、外国人であることのみを理由
として入居を断ることのないよう、
受入れ企業が、自ら住宅確保を行うほか保証人として入居をサポー
トするなど、
責任をもって住宅の確保を確実に実施するとともに、外国人が円滑に
入居できるようにするための取組を進めていく必要がある。
さらに、公営住宅等において、日本人と同様の入居を推進し、共生
社会を実現していく必要がある。
【具体的施策】
○ 外国人が支障なく住宅を探し住むことのできるよう、全国の居住
支援協議会による在留外国人への支援活動をサポートするとともに、
外国人の住宅確保のための多言語による情報提供や物件紹介等の取組
等、共生社会の実現に向けた施策を不動産関係団体と協力して引き続
き積極的に推進する。
このため、外国人から住まい探しの相談を受け、その入居を受け入れ
る賃貸人や仲介事業者向けの実務対応マニュアルや外国語版の賃貸住
宅標準契約書等を内容とする
「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」及び、
外国人向けの日本での部屋の探し方、契約時に必要な書類、入居手続
き等を内容とする「部屋探しのガイドブック」について、
不動産関係団体と連携し、現状の8か国語から 14 か国語への多言語
対応の拡充を図る。
また、同ガイドライン・ガイドブックにおける入居の約束チェック
シートの項目の見直し・拡充、やさしい日本語への対応を行い、
ホームページでの公表や関係事業者への研修会等を通じて、共生社
会の重要性と併せて引き続き広く周知・普及を図る。
あわせて、外国人も日本人と同様に家賃債務保証サービス等を利用
し、不当な差別なく契約ができるよう、家賃債務保証業者登録制度
等の周知を行う。
さらに、不動産関係団体において作成した、特定技能制度や技能実
習生に係る制度
及びそれに基づいて入国する外国人材の入居受入れの実務に係る賃
貸人向けのガイドブックについて、
登録支援機関、不動産所有者等に対して引き続き周知、普及を図る
とともに、
賃貸人の懸念等に対応するため、外国人の入居受入れに関する無料
相談を引き続き実施する。
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住
宅セーフティネット法)に基づき、
外国人を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や
住宅情報の提供、居住支援等を促進する。
特に、外国人の就労や生活を支援する機関や相談窓口に対し、外国
人を対象としたサービスを提供する居住支援協議会、
居住支援法人、登録家賃債務保証業者、登録住宅等に関する情報を
積極的に提供することにより、外国人への居住支援の更なる充実を
図る。〔国土交通省〕《施策番号 74》
○ 公営住宅に関し、在留資格を持つ外国人について、日本人と同様
の入居申込資格を認める取扱いとするよう、
地方公共団体に要請を行っているところ、このような地方公共団体に
おける取組を更に推進する。
都市再生機構の賃貸住宅について、外国人の居住者が多い団地で実施
されている外国人との共生の取組(外国語版の居住者向けリーフレッ
トの配布、管理サービス事務所等における通訳の配置、居住者間の交
流イベントの開催等)を推進する。〔国土交通省〕《施策番号 75》
5.金融・通信サービスの利便性の向上
【現状認識・課題】
外国人が我が国で生活していくに当たっては、家賃や公共料金の支払、
賃金の受領等の様々な場面において、金融機関の口座を利用すること
が必要となることから、
外国人が円滑に銀行口座を開設できるようにするための取組を進めて
いく必要がある。
また、外国人が我が国で生活していくには、携帯電話をはじめとする
通信サービスを利用することが必要となることから、
携帯電話等の外国人が日常的に利用する通信サービスを円滑に契約し、
利用できるようにするための取組を進めていく必要がある。
【具体的施策】
○ 外国人材の口座開設の円滑化が、都市部のみならず地方も含めた
各金融機関の支店・窓口においても一層徹底されるよう、
やさしい日本語を含む 14 か国語の外国人向けパンフレット及びその
受入れ先向けのパンフレットを地方出入国在留管理官署や地方自治体
等を通じて配布することに加え、
全国で金融機関や受入れ企業等に対する説明の場を設ける。上記機会
に併せて、マネー・ローンダリングや口座売買、地下銀行等の犯罪へ
の関与を防止するため、これらの行為が犯罪であることや、
関与した場合に上陸拒否や国外退去となり得ること、無免許・無登録
の金融機関を利用しないこと等の周知も行っていく。
また、金融機関においても、特殊詐欺やマネー・ローンダリング等へ
の対策の観点から、
在留カードの利用等により、金融機関が外国人の在留期間を把握して
口座を適切に管理する等、
関連規定やガイドライン等の整備を含め、上記に資する取組みが行わ
れるよう引き続き対応を促していく。〔金融庁〕《施策番号 76》
○ 受入れ企業は特定技能外国人及び技能実習生が金融機関において
円滑に口座を開設できるように必要なサポートを行う。
〔法務省〕《施策番号 77》
○ 賃金支払について、給与受取側のニーズやキャッシュレス社会実
現に向けた要請を踏まえ、
資金移動業者の口座への賃金の支払を可能とすることについて、賃金
の確実な支払などの労働者保護が図られるよう、
資金移動業者が破綻した場合に十分な額が早期に労働者に支払われる
保険等の制度の設計を早期に終え、労使団体と協議の上、来年度早期
の制度化を図る。
その際、併せて、諸外国の事例も参考にしつつ、マネーロンダリング
等についてリスクに応じたモニタリングを行う。〔内閣府(地方創生)、
厚生労働省、金融庁〕《施策番号 78》
○ 在留外国人による携帯電話の契約及び利用の円滑化等の観点から、
日本語の話せない外国人が一律に契約を阻害されることのないよう、
携帯電話事業者等における多言語対応に向けた取組及び在留カードに
よる本人確認手続の円滑化に資する取組の推進に引き続き取り組む。
〔総務省〕《施策番号 79》
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今回は、「多言語」という言葉がそこかしこに出てくるのが
1つの特徴。
確かに外国人の日本語力に頼るわけにはいきませんから、
多言語対応や自動多言語翻訳を活用するのも分かりますが、
200か国から来る外国人につぶさに言語対応するとすれば
莫大な予算と人手が必要です。
また、法律上の案件など誤訳が許されないシーンで自動翻訳機を
使うのは、やはりリスクが高いです。
そのあたり、これからどう運用していくのか、気になるところです。