「総合的対応策(改訂)」を読む(7)。

「総合的対応策(改訂)」を読む。

今回は、7回目。

「総合的対応策(改訂)」とは、下記報告書
を言います。

「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)」
http://www.moj.go.jp/content/001311603.pdf

今回は「II 施策」のうち、

「3 生活者としての外国人に対する支援」

の1回目。

「(1) 暮らしやすい地域社会づくり 」

を扱います。

日本に住む外国人にとってとても大変なことは、

「必要な情報が簡単に手に入れられない。」

ということ。

いわゆる「情報難民」になりやすいということが
あげられます。

そうならないために、本施策では、

・やさしい日本語や多言語対応による行政・法律手続き
に関する情報提供
・行政手続きの窓口の一元化

などを謳っています。

それはまるで「一億総外国人対応」。

そう考えれば、私たち日本語教師は単に日本語教育
だけでなく、

外国人との接し方も心得ているわけですから、幅広い
貢献ができそうですね。

では、早速続きを見ていきましょう。

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3 生活者としての外国人に対する支援

(1) 暮らしやすい地域社会づくり

1.行政・生活情報の多言語化、相談体制の整備

【現状認識・課題】

外国人が我が国で生活するに当たっては、在留手続、納税手
続、労働関係法令、社会保険制度をはじめとする各種の手続
・法令・制度、

ごみ出しルールをはじめとする社会生活上のルール等につい
て、分かりやすい形で迅速に情報を入手できることが必要で
あるとともに、

外国人からの生活相談等についても、よりきめ細かな対応を
可能とする体制を構築することが必要である。

特に、外国人労働者は、日本の労働関係法令に関する知識が
乏しいこともあって、労働条件に係る問題が生じやすいこと
から、

ハローワークや労働基準監督署等における多言語での対応の
充実を図る必要がある。

また、医療、福祉、子育て等の分野においても、関係機関に
おける多言語での対応の充実を図る必要がある。

なお、これらの取組を推進するに当たっては、外国人は、日
本での生活情報の収集にソーシャル・ネットワーキング・
サービス(SNS)を利用することが多いという指摘にも留
意する必要がある。

【具体的施策】

○ 外国人が、在留手続、雇用、医療、福祉、出産・子育て・
子供の教育等の生活に関わる様々な事柄について疑問や悩み
を抱いた場合に、

適切な情報や相談場所に迅速に到達することができるよう、
地方公共団体が情報提供及び相談を行う一元的な窓口を整備
するための支援を開始し、対象を全地方公共団体に拡大した。

地域の実情に応じた対応が可能になるよう新たに複数の地方
公共団体の広域連携による一元的相談窓口の設置・運営も外
国人受入環境整備交付金の交付対象とする。

また、同相談窓口における通訳の配置・多言語翻訳アプリの
導入による多言語対応(11 か国語以上)等の相談体制の整備
・拡充の取組を交付金により引き続き財政的に支援する。

あわせて、同相談窓口における多文化共生社会の実現に資する
日本人からの相談への対応に加え、

同相談窓口が地域との交流や日本語学習の場の情報提供を行う
など外国人に対する支援における同相談窓口の機能の向上に努
める。

また、地方公共団体及び関係行政機関が一元的な窓口における
業務を円滑に実施することができるよう、

地方公共団体職員等に対し、相談業務に関する研修等を実施し、
その知識の更なる涵養を図る。

さらに、地方出入国在留管理官署職員等を地方公共団体の要望
を踏まえて派遣するなどし、出入国及び在留の手続に係る相談
にも一元的に応じる。

加えて、全国に配置されている受入環境調整担当官の体制整備
を図ること等により、地方公共団体に対する支援活動、地域に
おける情報収集等を充実・強化する。〔法務省〕《施策番号 39》

○ 「外国人の受入れ環境の整備に関する業務の基本方針につ
いて」(平成 30 年7月 24 日閣議決定)において、関係府省
が連携を強化し、地方公共団体とも協力しつつ、

外国人の受入れ環境の整備を効果的・効率的に進めることとさ
れたことを受け、

留学生の受入れ促進・就職、高度外国人材の受入れ促進、外国
人材・家族の人権擁護、法律トラブル、査証相談、労働基準・
労働安全衛生等、

地方を含む外国人の雇用促進等に対する支援等の施策を一括し
て実施することにより、効果的・効率的な支援を可能とするた
め、

各機関の関係部門を集約させた外国人共生に関する拠点(外国
人共生センター(仮称))を設置する。同センターにおいて、

地方公共団体が設置する一元的相談窓口からの問合せへの対応、
地方公共団体担当者への研修、通訳支援の試行等の同窓口に対
する支援を実施する。

あわせて、同センターは、相互交流事業を行う独立行政法人国
際交流基金や、独立行政法人国際観光振興機構と連携を図る。
〔法務省、外務省、厚生労働省、経済産業省〕《施策番号 40》

○ 外国人が、適切な情報や相談場所に迅速に到達することが
できるよう、外国人居住の実情を踏まえつつ、国の行政機関に
おける相談窓口と地方公共団体等が運営する相談窓口が協力し、

それぞれが運営する相談窓口の更なる連携を促進し強化する。
〔法務省、厚生労働省、文部科学省、総務省〕《施策番号 41》

○ 安全・安心な生活・就労のために必要な基礎的情報(在留
手続・労働関係法令・社会保険・防犯・交通安全等)について、
「生活・就労ガイドブック」を政府横断的に作成し、

電子版(日本語、英語、ベトナム語)をポータルサイトに掲載
したところ、これに引き続き、今後、14 か国語に翻訳する。

さらに、関係機関の連携の下、必要に応じてその内容を拡充す
る。

また、冊子版を順次、作成・配布等する。〔法務省(外務省、
厚生労働省、警察庁等関係省庁)〕《施策番号 42》

○ 共生社会実現に向けたやさしい日本語の活用を促進するため、
有識者会議を開催し、

やさしい日本語の活用に関するガイドラインを作成する。〔法務
省、文部科学省〕《施策番号 43》

○ 多言語対応の基礎となり得る自動翻訳については、多言語自
動音声翻訳技術を更に簡便に利用できる基盤となる「自動音声
翻訳プラットフォーム」を民間事業者が立ち上げ、

官民を問わず、自動音声翻訳技術を役務として享受可能な環境が
整備されたことを踏まえ、利用促進のための周知活動を実施する。

さらに、多言語自動音声翻訳技術については、2025 年大阪・関
西万博も見据え、

日常生活・行政手続・観光等の場面に加え、ビジネスや国際会議
等での議論の場面も含め、

日本人と外国人及び外国人同士でストレスなく十分なコミュニ
ケーションを可能とするため、AIによる同時通訳の実現に取り
組むとともに、

今般の入管法の改正も踏まえ、特定技能外国人を含め、在留外国
人に対応する観点から強化対象言語を追加し、併せて翻訳精度の
向上を図る。〔総務省〕《施策番号 44》

○ 多言語自動音声翻訳の利用促進の観点も踏まえ、一元的相談
窓口をはじめ、外国人と接する機会の多い行政機関の相談窓口に
おいては、

自動翻訳アプリ等を活用しながら、外国人の相談ニーズに適切に
対応できる多言語対応を進める。〔全省庁〕《施策番号 45》

○ 外国語で提供する行政情報・生活情報の更なる内容の充実と、
多言語化による情報提供・発信を進める。〔全省庁〕《施策番号 46》

○ 特に、医療、保健、防災対策等の外国人の生命・健康に関す
る分野や、子供の教育、保育その他の子育て支援サービス、労働
関係法令、社会保険(医療保険、年金、介護保険、労働保険)、

在留手続等の分野における情報提供・相談対応、民間賃貸住宅等
の契約等については、

地域ごとの国籍別の在留外国人の多寡等の状況を踏まえ、できる
限り、母国語による情報提供・相談対応等が可能となるよう、

段階的な多言語対応の環境づくりを進める。〔内閣府(子ども・
子育て)、消費者庁、法務省、総務省、厚生労働省、文部科学省、
国土交通省等関係省庁〕《施策番号 47》

○ 外国人向けに、外国人支援や共生社会で目指す社会のあり方
等の情報発信を映像メディアを活用し実施することを検討する。

外国人に対する行政・生活情報の提供に当たっては、ソーシャル
・ネットワーキング・サービス(SNS)等の情報発信ツールを
利用するなど、

各外国人が情報サービスの享受を確実に実感できる環境づくりに
ついて検討する。〔法務省〕《施策番号 48》

○ 外国人に対する行政・生活情報の提供に当たっては、ソーシャ
ル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用することも想
定した対応を推進する。〔全省庁〕《施策番号 49》

○ 条約難民及び第三国定住難民の地域における共生が進むよう、
これらの外国人やその関係機関等に総合的対応策の各施策を周知
・啓発する。〔法務省〕《施策番号 50》

2.地域における多文化共生の取組の促進・支援

【現状認識・課題】

我が国において人口減少や高齢化が進行する中、地域経済を支える
貴重な人材として、

また、地域社会の重要な構成員として、外国人住民の役割は重要性
を増しており、

国籍等にかかわらず外国人が暮らしやすい地域社会づくりを推進す
ることが求められている。

このような観点から、地方公共団体における多文化共生の取組の更
なる促進を図るとともに、

外国人が安心して我が国での生活や就労を開始できるようにするた
め、地域において外国人の支援に携わる機関・個人に対する適切な
支援等を行う必要がある。

【具体的施策】

○ 「特定技能」の在留資格が創設されたことを踏まえ、大都市圏
その他の特定の地域に外国人が過度に集中することなく、

地域の人手不足に的確に対応し、地域の持続的発展につなげていく
必要がある。

外国人材の受入支援や共生支援等の優良事例の収集・横展開を行い、
地方公共団体の自主的・主体的で先導的な取組について、

引き続き地方創生推進交付金により積極的に支援する。<再掲>
〔内閣府(地方創生)、内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部)〕
《施策番号 12》

○ 地域において外国人の支援に携わる人材・団体(外国人支援者)
の育成を図るべく、外国人に対する生活ガイダンスの実施・各種
行政手続に関する情報提供、

住宅の確保、生活に必要な日本語の習得の支援、外国人からの相談
・苦情への対応等を適切に行うことができるようにするための研修
等を行うとともに、

適切な支援が行えるよう継続的に情報提供を行う。

特に、我が国への滞在を開始して間もない外国人に対する生活ガイ
ダンスを、法令上当該外国人の支援を行うこととされている者がよ
り一層適切に実施できるよう、

関係省庁、地方公共団体、外国人支援団体等の意見等も聴きつつそ
の内容を策定する。

また、外国人支援者同士が連携して効率的・効果的に外国人に対す
る支援を行うことができるよう、外国人支援者のネットワークを構
築する。〔法務省等関係省庁〕《施策番号 51》

○ 地方公共団体等において活躍したいと望む在外の親日外国人材
と地方公共団体等のニーズ(地方創生業務)に対する円滑なマッチ
ングが行われるように、

在外公館等における外国人材への広報を行うなど適確なマッチング
の支援を進める。

また、地方公共団体等において、外国人材が安定的に雇用され、柔
軟かつ効果的に幅広く活動することが可能となるよう包括的な資格
外活動許可の活用を周知し、外国人材の活躍を促進する。
〔内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部)、外務省、法務省〕
《施策番号 52》

○ 総務省において策定した「地域における多文化共生推進プラン」
について、総合的対応策も踏まえつつ、

令和2年に改訂を行い、地方公共団体における多文化共生の推進に
関する計画の策定を促進し、着実な施策の推進を図る。

また、総務省において、「多文化共生アドバイザー制度」、「多文
化共生地域会議」で得られた優良事例・相談事例について、

ホームページや地域会議等を通じて全国の地方公共団体等に展開す
ることで、地域における多文化共生の推進に向けた取組を更に促進
する。

各都道府県において共生社会の実現に向けた会議を設置することを
促進すること等を通じて、

地域における多文化共生施策の更なる推進を図る。〔総務省、法務
省〕《施策番号 53》

○ 在留外国人の増加と国内での転出入の増加等を踏まえ、市区町村
が外国人住民について正確な情報を把握し、

各種行政サービスを適切に提供できるよう、住民基本台帳制度の適正
な運用を図る。〔総務省〕《施策番号 54》

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こうして見てみると、情報提供でSNSをフル活用するよう
あたり、時代を感じます。

今回はかなり長い引用でしたが、しっかり読んでおいてくださいね。


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