『みんなの日本語』課末読解問題、こうすればうまくいく。
今回も、前回に引き続き『みんなの日本語』の著者
田中よね先生のセミナーで田中先生に教えていただいた
指導方法です。
『みんなの日本語』は各課の最後に問題の
ページがあり、
最後は簡単な読解問題になっています。
先生方の中にはこの読解問題をどういうふうに
扱ったらいいのかよくわからない、
というかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
田中先生はこの活動を、前作業、本作業、後作業
の3つのステップで指導するといいとおっしゃって
いました。
例えば、『みんなの日本語』13課の読解は
「犬の生活」
というタイトルの文章ですが、
前作業として犬についての話をしたり、
ペットがいるかどうかというような話をする。
いわゆる「先行オーガナイザー」です。
それが終わると「本作業」にいくわけですが、
ここで注意しなければならないことは
「最初に精読や音読をしてはいけない。」
ということ。
私たち教師は学習者に目に見える形の活動を
させると安心するという傾向があるためか、
いきなり精読や音読をするケースが散見
されますが、
最初にこれをしてしまうと、
一文目の理解にやたらと時間がかかってしまい、
その文章の全体像をつかむことができません。
まさに、
「木を見て森を見ず。」
では、何をするかというと、
おおざっぱに内容を理解するための黙読活動を
させるのです。
つまり、スキミングですね。
あるいは、内容に関する質問を予め示しておいて
その答えに該当する部分を黙読で探させる。
この場合は、スキャニングと。
たとえば『みんなの日本語』の読解問題では
内容に関する質問がいくつかありますので、
それを黙読しながら、自分で解かせてみる。
それで答え合わせをして、だいたい文章の理解が
できたというところで、精読・音読活動をしていく、
という流れになるわけです。
続く後作業では、
「産出作業につなげるような活動」
をするといいと田中先生はご提案なさっていました。
例えば、13課の「犬の生活」という文章を、
今度は猫の立場で書いてみるというような
タスクを学習者に課すわけです。
この文章は犬の目から見たものですが、
ただ「犬」を「猫」に変えればいい
というものではないんですね。
犬の目からみた猫の記述もありますので、
それを逆に、猫の目から見た犬の記述に
置き換えていくという作業が必要になって
くるわけです。
そうすると、文章の理解も深まりますし、
作文能力も身につく。
一石二鳥ですね(^_^)
『みんなの日本語』課末の問題をどう
扱ったらいいか分からないという方、
この手順で授業を組み立ててみては
いかがでしょうか。