読み手を意識した作文を書かせるための指導アイデア。
初級の後半になると、作文指導で読み手を
意識した作文を書かせる指導を私は意識して
やっています。
もともと作文というのは誰かに読んでもらう
ためのものですから
読み手を意識して、分かりやすく共感とか感動
とかを持ってもらうように書くというのは大事
なことです。
ところが、
初級の学習者の場合、日本語で文を書くことに
頭がいっぱいになり、
読み手を意識するところまで、なかなか意識が
回らないことが多いようです。
その結果、
書いていることが効果的に相手に伝わらない
ということがあるんですね。
したがって、
初級も後半になると、読み手を意識しながら
文章を書かせる指導が、とても大事になって
くるわけです。
では、
具体的にどういうふうに指導したらいいか。
例えば、
初級後半で「日本に来て驚いたこと」という
テーマで作文指導するとします。
その場合、いきなり書かせようとしても、
いいアイディアが浮かばなかったり、
書いている途中で、別のいいアイデアが浮かんで
きたり、
そもそもとにかく書くことで頭がいっぱいなので
読み手を意識した文章を書くのが難しい。
ではどうするかというと、
まず、
「日本に来て驚いたことを3つあげてください」
と指導します。
つまり、ネタ出しです。
3つあげてもらったら、その中でいちばんいいものを
選んで作文を書くわけですが、その際、
「あなたが出した3つの驚いたことを、
隣の人とお互いに話し合ってください。」
という活動を差し込むわけです。
そうすると、
学習者は、聞き手である相手の反応に合わせながら
自分の驚いた話を説明することになります。
当然、相手から質問を受ける場合もある。
そうすると、話し手は、
「この部分をもっとちゃんと説明しなければ
いけないんだな。」
とか、
「ここはすごくウケる。」
とか、
「3つのネタのうち相手がいちばん反応がいいのは
このテーマだ。」
とか、
「この順番で話したら、もっとわかりやすいはず。」
というのがわかってくるわけです。
そのうえでテーマを絞ると。
この活動を入れるだけで、読み手に対する意識が高まり、
かつ、書く内容もかなり練られてきます。
さらに、
3つの中から1つ選ぶ際に、自分がびっくりしたことを
選ぶのではなく、
聞き手である相手がいちばんびっくりしたことを
テーマに選ぶ、
つまり、テーマを相手に選ばせる。
そうすると、なお読み手意識が高まるかもしれませんね。
その際に大事なことは、
本人にとっては一番びっくりしなかったこと
ではないかもしれないので、
文章にするとどうしても淡泊になる可能性がある
ということ。
そこで聞き手がもっと知りたいようなことを
文章にしていくという指導が大事になってきます。
作文のテーマを決める時には、
まず3つの候補をあげさせて、
隣の人に説明させる活動を入れてみる。
そして、聞き手が一番びっくりしたテーマで作文を
書かせてみる。
まだまだいろいろな工夫ができそうです。