「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」を読む(6)
先日、文化庁から発表された
「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」
https://bit.ly/33JfmP9
を読む。
第6回の今日は、その本丸である
「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」
(令和元年11月8日国語分科会)
https://bit.ly/2qTVBFZ
の5回目です。
今回は、
「5.資格取得要件3:学士」
「6.経過措置(「日本語教育機関の告示基準」に定めら
れた教員要件を満たす者の取扱い)」
について読んでいきます。
なお、
「7.更新講習の要件」
は、10年先の話ですので、今回は割愛します。
では、早速。
「5.資格取得要件3:学士」
ここでは、以下の3項目が掲げられています。
○多様な国籍,ニーズ,背景を持つ外国人に教育者として
向き合い,対応できる専門職として期待される日本語教
師には,幅広い教養と問題解決能力が必須である。
○法務省が告示をもって定める日本語教育機関に在籍する
留学生の大半が大学等の高等教育機関に進学を希望する
者であることから,公認日本語教師の登録要件の一つと
して,学士以上を有することを加えることが適当である。
○日本語教師が教育職として海外で活躍する上で,国際標
準の観点からも学士以上を有することが適当である。
要は、
「教師たるもの学士ぐらいないとダメですよ。」
ということ。
私自身、20年教壇に立ってみて、学士ぐらいないと務まら
ない仕事だと実感します。
なので、繰り返しになりますが、学士のない方は、放送大
学なり、通信制大学なりで学士を取られることをお勧めし
ます。
さて、次の、
「6.経過措置(「日本語教育機関の告示基準」に定めら
れた教員要件を満たす者の取扱い)」
では、以下の1項目について述べられています。
○出入国在留管理庁が定める「日本語教育機関の告示基準」
第 1 条第 1 項第 13 号の教員要件を現に満たす者の取
扱いについては,新たな資格となる公認日本語教師の要
件を満たす者として,一定の移行期間を設け,公認日本
語教師として登録を行えるようにすることが適当である。
「日本語教育機関の告示基準」とは、出入在留管理庁が平成28
年に出した、下の資料のことです。
「日本語教育機関の告示基準」
https://www.mext.go.jp/content/1422263_011.pdf
この第 1 条第 1 項第 13 号では、教員要件を以下のように定
めています。
十三 全ての教員が,次のいずれかに該当する者であること。
イ 大学(短期大学を除く。以下この号において同じ。)又は
大学院において日本語教育に関する教育課程を履修して所
定の単位を修得し,かつ,当該大学を卒業し又は当該大学
院の課程を修了した者
ロ 大学又は大学院において日本語教育に関する科目の単位を
26単位以上修得し,かつ,当該大学を卒業し又は当該大
学院の課程を修了した者
ハ 公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する日本語教育
能力検定試験に合格した者
ニ 学士の学位を有し,かつ,日本語教育に関する研修であっ
て適当と認められるものを420単位時間以上受講し,こ
れを修了した者
ホ その他イからニまでに掲げる者と同等以上の能力があると認
められる者
いわゆる「有資格者」の要件ですね。
こうした要件を満たす方は、公認日本語教師として登録しよう
ということです。
公認日本語教師の制度が実動すれば、今まで以上に実習のウエイ
トが大きくなりますので、
今のうちに検定試験に合格して日本語学校等に就職し、新制度を
待つというのも、ひとつの手かと思います。
ただ、有資格者は自動的に公認日本語教師にスライドできるかと
いうと、まだわかりません。
もしかしたら、新試験は免除されるが実習は45単位分やってね、
ということになるかもしれません。
そのあたりは、今後の議論や政府の動きに注目したいと思います。
いずれにしても、
「先んずれば人を制す」
今から準備のための行動を取られるといいでしょう。