「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」を読む(1)
先日、文化庁から発表された
「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」についての意見募
集の実施について:文化庁
https://bit.ly/33JfmP9
これは、今後政府一丸となって外国人との共生社会を
目指していくに際し、
彼らに対する日本語教育サービスを充実させていくに
あたり、
その第一線で活躍する日本語教師を質量ともに充実して
いこうという背景の中で、
今まで民間資格でしかなかった日本語教師を公的資格に
しよう、
そのために日本語教育に関する公的な認定試験をつくろう
という流れから出たものです( ´Д`)=3 フゥ
現在は、まだ(案)の段階で、これから広く意見を募集し、
修正を加えていくわけですが、
大筋で大きな変化はないでしょうし、
これから日本語教師を目指す方や現職の日本語教師の方は
その内容を絶対知っておいた方が、今後の身の振り方の
参考になるかと思います。
そこで、今回から数回にわたって、
「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」を読む
と題して、本報告書を見ていきたいと思います。
第1回の今日は、
【資料4】日本語教師の資格の仕組みイメージ(案)
https://bit.ly/34ZdOAF
いきなり本文に行くより、まずはイメージ図を
見ておいた方が理解しやすいでしょう。
実際、このフローを見ると、よくわかります。
まず、スタートは一番上の
(1)大学等の日本語教師養成課程(主専攻・副専攻)
(2)文化庁届出受理日本語教師養成研修(420単位時間~)
(3)多様な背景を有する,日本語教師を目指す者
今までは、(1)(2)そして検定試験合格のいずれかが
あれば、日本語教師として就職することができたわ
けです。
ところが、新制度では(1)(2)は単に資格登録要件の
全段階でしかありません。
大学で日本語教育を専攻しても、420時間の養成講座
に通っても、
それだけでは公認日本語教師には認められないのです。
公認日本語教師として認定されるためには、
【要件1】日本語教育能力を判定する試験 合格
【要件2】教育実習の履修
(45コマ以上,クラス形式・1コマ(45分)
以上の教壇実習を含む))
【要件3】学士
のすべてを満たさなければなりません。
特に、特徴的なのが【要件2】。
1コマ45分以上で45コマ以上の教育実習とは、
なかなかのボリュームです。
つまり、実践力を重視しているわけですね。
「1、2回ちょろっと初級の授業をやってみました。」
みたいな実習じゃダメ!ということなんですね。
ちなみに、我が別府大学の日本語教員養成課程は
前後期にわたって
「日本語教育実習指導1」「同2」
「日本語教育実習1」「同2」
があり、それぞれ1コマ90分、全15回ありますので、
1コマを45分に換算すると、
90分÷45分×15回×2(週2回)×2(前後期)=120コマ
実に、120コマ分の実習プログラムでやっています。
しかも、担当教員は私篠崎ただ一人(ホントよく働く(笑))
ということは、
まだ報告書をしっかり読んでいないので、定かでは
ありませんが、
大卒の方が独学で試験勉強し、合格して要件1を
満たした後、
国が認定した養成機関で45コマ以上の実習をすれば
公認日本語教師として認められる、
ということになります。
いずれにしても、こうした公的資格になるという
ことは、
これから公認日本語教師として認定されなければ
日本語教師として仕事をすることができない、
ということになります。
従来の、法務省認定の日本語学校はもちろんのこと、
今後、文科省主導で進められるであろう学校教育に
おける外国人児童生徒に対する日本語教育現場、
さらには、今後おそらく総務省等の主導で進められる
であろう、各自治体での外国人生活者に対する日本語
教育現場。
こういったところで日本語教師として働くためには、
公認日本語教師の資格はマストであるといえます。
もちろん、すでに現行の法務省告示基準の教員要件を
満たす者については、
経過措置として認定するという方向で話が進んでいます
ので、
来年の検定試験で合格して、さっさと日本語学校等に
就職すれば、そのまま認定日本語教師に認定される
可能性が高いです。
そういったことも考えながら、これからしっかり準備を
進めていくといいと思います。