初級の文型導入授業そのものが、この世からなくなる日(その1)
初級の総合テキストに『げんき』というのがあります。
『げんき』
http://genki.japantimes.co.jp/about
日本国内では『みんなの日本語』や『できる日本語』
がよく使われていますが、
欧米では、かなり使われている教材です。
で、この『げんき』が今、このようなサービスを
始めています。
GRAMMAR VIDEO FOR GENKI
http://grammarvideoforgenki.com/
サイトには、このような謳い文句が。
「日本語学習も、次世代へ。
文法学習は「文法解説ビデオ」で自主的に。
教室では楽しく、コミュニケーション活動を。」
これは、『げんき』の英語ベースの文法解説ビデオを
テキスト利用者に有償で提供するもので、
このサービスを利用すれば、文法学習を事前に
自宅で済ませさせ、
授業では、コミュニカティブな教室活動に専念
することができます。
ちなみに、このような学習形態を
【反転授業】
といいます。
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反転授業(はんてんじゅぎょう、英語: flip teaching
(or flipped classroom))は、ブレンド型学習の形態の
ひとつで、生徒たちは新たな学習内容を、通常は自宅で
ビデオ授業を視聴して予習し、教室では講義は行わず、
逆に従来であれば宿題とされていた課題について、教師
が個々の生徒に合わせた指導を与えたり、生徒が他の生
徒と協働しながら取り組む形態の授業である。
-wikipedia
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今までの主に国内の日本語学校の初級の
授業というと、
文型導入とパターンプラクティスに時間の
多くを取られ、
コミュニカティブ活動に十分な時間を取れず、
結果、知識はあってペーパーテストではそこそこ
点数はとれるけど、話せない、使えない。
日本人とコミュニケーションがなかなかできない。
そんな感じでした。
ですが、授業でコミュニカティブ活動に専念
できれば、
学習者は、学習したことをどんどんアウトプット
することができ、
日本語を自由に使いこなせる学習者を育成する
ことができるわけです。
素晴らしいですね(^_^)
ですが、ということはどういうことか。
同じようなサービスを、他の教材もする
ようになるとどうなるか。
それは、初級の文型導入の授業が丸ごといらなく
なるということです。
また、学習者のたちがで考えれば、
よくわからない日本語で文法説明されるより、
母語で説明された方が明らかにわかりやすい
わけで、
そう考えれば、今後は国内においても文法説明は
直接法ではなく、学習者の母語や媒介語ベースで
行われる方向に進むと考えられます。
そうすると、私たち日本語教師は、これまでとは
指導方法も学習観・教育観も根本から見直す必要
があるでしょう。
長くなりそうなので、続きは次回に。