話し合いの授業が盛り上がらない原因を検定試験の過去問から学ぶ。
「話し合いの授業が盛り上がらない。」
そんな悩みを持つ日本語教師は結構多い
ようです。
同じ会話の授業でも、例えばロールプレイや
ゲームやインタビューであれば、
だいたい活動の内容や手順もはっきりして
いるので比較的進めやすいですが、
ディスカッションといったクラス全員で
話し合うような活動となると、
「話題を振っても返ってこない。」
「話をするのはいつも決まった学習者だけ。」
「話が横に広がるばかりで前に進まず、
まとまらない。」
となって、
「う~~む。どうしたものか。」
と悩むと。
いったい何が原因なのか。
これについて、平成28年の日本語教育能力検定
試験に、こんな問題が出題されています。
どれが答えか考えてみてください。
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次の文章を読み,下の問い(問1~5)に答えよ。
日本語教師のX先生とY先生が授業について話している。
X先生:最近、A話し合いの授業が盛り上がらないんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もっと活発なやり取りをしてほしいんですけど…。
中には全然発言しない学生がいるんですよね。
Y先生:そうですか。(以下、略)
問1 文章中の下線部Aに関して,話し合いを活性化する
ための方法として最も適当なものを,次の1~4の
中から一つ選べ。
1 「身近な問題を解決する」など,話し合いのゴールを
明確にする。
2 テーマは学習者のレベルを意識せず、学習者の興味関
心に沿ったものにする。
3 個々の意見を尊重するために、グループではなく終始
クラスで話し合う。
4 話し合いの活動のステップを定めず、自由に発言させ
る。
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答えはどれだと思いますか。
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正解は、1番です。
話し合いの授業を進める上では、
何はさておきまず【ゴールを明確にする】という
ことが大事なんですね。
そうすることで、学習者の思考の方向性が決まり、
具体的に考えられるようになります。
具体的に考えられれば、自然と発話も活発に
なります。
ところが、意外とできていないんですね。
だから、検定試験にも出題されると。
選択肢2番は、「学習者のレベルを意識せず」
が誤り。
やはり、レベルに沿ったテーマでなければ、
学習者はついてこれません。
選択肢3番は、終始クラスで話すようにすると
必ず話す学習者と話さない学習が生まれてしまい
ます。
それを避けるためには、2~4人ぐらいのグルー
プに分けて話し合いをさせるというのが有効です。
選択肢4番は、完全自由に学習者に話させようと
すると、
かえって学習者は、何を話していいのか分から
なかったり、
話すための思考の準備ができていなかったり
して、自由活発かつ建設的な話し合いがなかなか
生まれません。
逆に、授業を例えば
問題提起 → 資料の吟味 → 自分の考えの構築
→ 話し合い
のようにいくつかのステップに沿って進めると、
学習者も無理なく自分の意見が言えるようになり
ますし、
よしんば授業がうまくいかなかった場合でも、
その原因の特定と改善がしやすくなります。
いかがでしょうか。
検定試験の過去問を検討すると、話し合いの授業を
盛り上げるポイントがはっきり見えてきませんか。
このことからも、検定試験の過去問を単に試験勉強
だけに使うのって本当にもったいないことがお分かり
いただけるのではないでしょうか。
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「検定試験は指導ネタの宝庫」
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