「これが文化変容ってやつか!」と腹落ちした今日(その1)
昨日、6万円のTシャツを着る留学生の話を
しましたが、
実は、その前後に面白い文脈があり、
今日の私の授業での出来事とつなげて考えると、
「なるほど!これが文化変容ってやつか!」
と、驚き、発見、納得、感動を覚えましたので、
今回から数回にわたってお話ししようと思います。
その前にまず「文化変容」の定義を確認。
通信講座「篠研の検定対策」講義資料
「No.086 異文化受容・適応」
で、以下のように定義しています。
「空間的または時間的な意味において、
異文化に触れて起こす文化変化のこと」
(スライド14)
簡単に言うと、異文化に触れることによって
考え方や行動様式が変化することをいうわけ
なんですね。
検定試験対策的には、ベリーの文化変容モデルは
絶対出題されますので、しっかり覚えておきま
しょうね。
さて、事の起こりは数日前。
篠研スタッフが週に1度の別科での日本語の
授業から私の研究室に帰ってきて、開口一番、
「いや~、今日のディスカッションの授業は
失敗しました。」
ディスカッションというのは、簡単に言うと
あるテーマについて、その良しあしを議論し
合う活動のこと。
日本語の口頭能力アップはもちろんのこと、
学習者それぞれの考え方がぶつかり合って、
とても面白い。
この活動の成否のカギは、何といっても
そのテーマ選び。
学習者が強い関心を持て、かつ賛否両論に
分かれるようなテーマがベスト。
で、そのスタッフに何がそんなに失敗した
のかと聞くと
「同じ金額のお金で服を買うとしたら、
1.安い服をたくさん買うか。
2.高い服を一着だけ買うか。」
というお題でディスカッションをしよう
としたと。
なるほど。いいんじゃないですか。
ところが、実際に学習者に聞いてみると、
(ちなみにクラスは十数名。1名スリラ
ンカで、あとは全員中国。)
全員、2番!
みんな口を揃えて
「高い服を一着だけ買う。」
の一点張り。
というわけで、結局ディスカッションに
ならなかったというのです。
そこで、ちょっといぶかしく思った
そのスタッフは、
「じゃあ、今着ているTシャツはいくら?」
と、目の前の留学生に聞いたところ、
「100円。」(笑)
「な~んだ、みんなの前でちょっと見栄を
張ってただけだったんですね。」
私は、研修室でその話を聞きながら、
コーヒーをすすったというわけです。
スタッフのクラスの学習者は、おそらく
皆来日1年未満と思われ、
まだ、日本での生活の緊張感が溶け切れて
ないのかもしれません。
私は
「なるほどなぁ。」
と思うと同時に、
「じゃあ、私のクラスの留学生はどうなんだろう?
ちょうど明日授業があるから聞いてみよう。」
という思いに駆られました。
続きは、次回に。