「かたす」も「水くれ当番」も「トリノコヨーシ」も全部方言ッ!
ただ今、通信講座「篠研の検定対策」の講義資料に
過去10年分の検定試験の内容を盛り込む作業をして
います。
今のところ、カバー率は9割強。
手前味噌ですが、これほど検定試験直結の学習
コンテンツはないでしょう。
しかも、早い方なら1か月で修了。
あっという間に合格圏ですね(^_^)
そして、何より改訂作業をしている私自身が
とにかく面白くてしかたがない!(笑)
例えば
「No.093 言語変種」
このセクションは、地域方言がテーマ。
検定試験の過去問を調べてみると、
「気づかない方言」
が出題されていることが分かります。
例えば、平成19年試験III問題13問3。
「気づかない方言」とは、特に語彙の中に
見られるもので、
話者自身が方言と気づかないで使用している
ものを言います。
「それ、標準語でしょ。」
と思う語彙の中にも、実は相当数の方言が
含まれているんですね。
こうした方言の中には、標準語と同じ語形の
ものもあり、
そのことが、誤解を生む原因にもなっています。
では、具体的にどのような語彙が「気づかない方言」
なのか。
篠崎(2008)は、下記著書で「出身地がばれる方言」
を都道府県別にあげています。
篠崎晃一(2008)『出身地(イナカ)がわかる!気づかない
方言』朝日新聞社
http://amzn.to/2DLBtHX
講義資料にも掲げた都道府県別「気づかない方言」は
以下の通り。
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北海道 空揚げのことをザンギという
青森 (仲間に)いれてをカデテという
岩手 「大変だ」「きつい」をゆるくないという
宮城 えもいわれぬ違和感をいずいという
秋田 完成させることをでかしたという
山形 まるいち(〇に1の記号)をいちまるという
福島 「見たことある?」を見たときある?という
茨城 あおあざをあおなじみという
栃木 洗濯物を取り込むことを(洗濯物を)こむという
群馬 花に水をやる人(係)を水くれ当番という
埼玉 (電車などに)乗ることをのっかるという
千葉 あおあざをあおなじみという
東京 片づけることをかたすという
神奈川 語尾にじゃんをつける
新潟 模造紙をタイヨーシという
富山 模造紙をガンピという
石川 歌詞の一番を一題目という
福井 テレビの放送終了後の“砂嵐”をじゃみじゃみという
山梨 (かゆいところを)かくことをかじるという
長野 「前で」を前ででという
岐阜 模造紙をビーシ(B紙)という
静岡 沈殿する状態をこずむという
愛知 鋭くとがらせることをトキントキンにとがらせるという
三重 机を運ぶことをつるという
滋賀 (みそ汁などの)塩気が薄いことをみずくさいという
京都 鳥肌のことをさぶいぼという
大阪 体育座りのことを三角座りという
兵庫 補助輪付き自転車のことをコマ付きという
奈良 一生懸命のことをせいだいという
和歌山 (自転車などを)押して行くことをついて行くという
鳥取 沈殿する状態をとどむという
島根 転ぶことをまくれるという
岡山 ふざけることをちばけるという
広島 とりあえずの意味でたちまちという
山口 届かないことをたわんという
徳島 くだらないことをたっすいという
香川 満腹になることをおきるという
愛媛 模造紙をトリノコヨーシという
高知 なぞることをえぞるという
福岡 小銭に替えることをこまめるという
佐賀 「ない」ことをあってないという
長崎 うっとうしいをやぜかという
熊本 扉を閉めて出ることをあとぜきという
大分 車がすれ違うを離合するという
宮崎 家での予習復習を宅習という
鹿児島 黒板消しをラーフルという
沖縄 「すごく」と強調する時にしにを使う
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「えっ!これ方言?標準語だと思った。」
そういうものもあったのではないでしょうか。
このようなことから日本語教師自身もそれが方言
であるという認識がなく共通語と思って学習者に
指導した結果、
学習者が共通語と誤解したまま習得してしまう
ということもあります。
従って、私たち教師は指導しようとしている語彙が
方言ではないか注意する必要があるんですね。