従属節中の主語なのに、なぜ「は」が使える?
「は」と「が」の使い分けって、学習者に
とって、なかなか難しいものがあります。
日本語文法が専門の博士課程の留学生が
書いた論文ですら、
「は」と「が」の間違いがちらほらあったり
する。
それぐらい両者の使い分けって、難しいん
ですね。
この「は」と「が」の使い分けには、5つ
のルールがあります。
通信講座「篠研の検定対策」講義資料
「No.028 談話文法の諸問題(1)」
では、以下のように解説しています。
出典は、こちら。
野田尚史(1996)『「は」と「が」』くろしお出版
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1)新情報と旧情報の原理-新情報には「が」、
旧情報には「は」
2)現象文と判断文の原理-現象文には「が」、
判断文には「は」
3)文と節の原理-文末までかかるときは「は」、
節の中は「が」
4)対比と排他の原理-対比のときは「は」、
排他のときは「が」
5)措定と指定の原理-措定には「は」、
指定には「は」か「が」
(野田(1996)pp.108-109)
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このルールは、非常に有名かつ重要ですので
絶対に覚えてくださいね。
(詳しくは、通信講座の講義資料をお読みください。)
で、今回扱うのは上の中の3)。
「文末までかかるときは『は』」とは、
複文(=1つの文の中に、主語-述語のペアが複数
ある文)の中の主節の主語は「は」で示すという
ことを、
「節の中は『は』」とは、従属節の主語は『が』
で示すということを意味します。
主節とは、文の中で文全体にかかる主語-述語の
ペアを含む部分で、
従属節とは、文の中の一部分にかかる主語-述語
のペアを含む部分。
例えば、下の例文でいうと、
例)彼女が作ったケーキは、おいしかった。
 ̄  ̄
このうち、「彼女が作った」の部分が従属節で
「ケーキはおいしかった」の部分が主節なわけです。
確かに、従属節の主語である「彼女」の後には
「が」がついていますし、
主節の主語である「ケーキ」の後には「は」が
ついていますね。
なるほど!そう考えれば、3)の意味も理解できる
というものです。
じゃ、下の文はどうでしょうか。
例)ラーメンはおいしいこの店で、いつも昼ご飯を食べる。
 ̄
この時、「ラーメンが~」ということもできますが、
「ラーメンは~」といっても間違いではありません。
(若干、「この店」に対して失礼ですが(笑))
あれ?
「ラーメンはおいしい」は、明らかに従属節。
なのに「は」が使える。
なぜ、「は」が使えるのでしょうか。