「若者」と「バカ者」の区別ができない学習者をどう指導するか。

今日は午前、

「音声指導の基本と具体的指導法
-その場でできる!発音がよくなる!-」

を行いました。

 

参加者16名、4人一組の島型×4つ。

 

音声指導の基本的な知識から具体的な指導方法
を説明した後、

セミナーの最後に、以下のようなタスクを
受講生の皆さんに投げてみました。

====================

【タスク2】

各グループで話し合って、学習者の音声上の
問題を1つ取り上げ、その指導方法を考えな
さい。

====================

後は、グループごとにディスカッション。

 

そうしたところ、ある方がグループ内で
問題提起。

「以前教えた学習者が、

『先生、公園でバカ者が騒いでいます。』

というので、どういうことかと聞いてみると、

どうやら、本人は『バカ者』ではなく
『若者』と言いたかったようでした。

そこで、『バ』じゃなくて『ワ』だよと
説明したのですが、

その学習者は、『どちらも『バ』と聞こえる。』
と言って一歩も引かない。

どう指導したらいいのでしょうか。」

なるほど!

 

そこで、グループで話し合い。

 

そこでいくつか指導方法が出されたのですが、

そのうちの1つがとても秀逸でしたので、
ここでシェアしますね。

 

曰く、

「今の段階では『バ』と『ワ』の区別が
つかない。

この段階で下手に『若者』と発音しようとして
『バカ者』と言ってしまったら、ミスコミュニ
ケーションを起こす可能性がある。

そこで、無理に『若者』と言わそうとせず、
『あかもの』と発音するよう指導する。」

これ、実はすごい発想です。

 

なぜなら、

「公園であかものが騒いでいます。」

と言っても、聞き手は、

「公園で若者が騒いでいます。」

と聞き取る可能性が高いからです。

 

そもそも、脳は耳にした音声を自動的に
意味ある文にしようとする性質があります。

 

母音の無声化が起こっても、聞き手のほうで
無意識に欠落した母音を差し込み、意味ある
文に再構築できるのもそのためです。

 

意味ある文に変換できないままだと、とっても
気持ち悪いんですね。

 

あるいは、場合によっては、自分のほうが
音を聞き逃したのではないかと考えるかも
しれない。

 

それを逆手にとって、利用するわけです。

 

そうやって、うまくごまかしている間に
「バ」と「ワ」の区別ができるように
すればいい。

 

「なんてやわらかいんだ!」(笑)

 

正しい発音を指導するだけが音声指導では
ないんですね。

 

こういうことがあるから、セミナーって
やめられないのです(^_^)


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための無料メルマガ
無料メルマガ「篠研の“日々成長する教師”」

授業の小ネタや授業実践のコツ、教師としての考え方、息の長い日本語教師になるための知恵などを週2日(火・木)でお届けします。

さらに、今ご登録なさると特典が無料でダウンロードできます。
特典 「精読指導の秘奥義」(全24ページ)

解除はもちろんのこと、メールアドレス変更など個人データの編集も簡単ですので、ご安心ください。プライバシーポリシーをご確認の上、ご登録を希望されるメールアドレスを入力し、ご希望の項目ボタンを押してください。

  メールアドレス【必須】
  お名前(姓)【必須】
  お名前(名)【必須】
  よみがな【必須】
  都道府県【必須】 なお、海外在住の方は「海外」をお選びいただき、下記項目に例のようにご記入ください。
  海外にお住まいの方は「ベトナム(ホーチミン)」のようにお書きください。