類義語の分析方法2-動詞を活用させてみる。

前回に引き続き類義語の分析方法として、
今回は

「動詞を活用させてみる。」

という方法を紹介します。

 

類義語を指導する際、
場合によっては教育的な配慮から

「大体同じです」

といった指導をすることもあります。

 

しかしながら、基本的には

「言語形式が異なれば、
なにがしか意味用法に違いがある。」

というのが本当。

 

そうでなければ、それぞれの存在意義が
ありません。

 

平成24年の検定試験では、

「慌てる」と「急ぐ」

の分析方法が問題の中で紹介されています。

 

この両動詞はどちらも

「早く行動しようとする。」

という点では同じような意味を持った類義の
動詞です。

 

これらもやはり言語形式が違うので、
何かが違うんですね。

 

さて、何が違うのか・・・。

 

この時、両動詞を活用させてみると
両者の違いがよく分かります。

 

具体的には、命令形や意向形、否定形に
変えてみるということ。

 

では、これらの動詞を、命令形、意向形に
変えてみましょう。

 

「慌てる」は、

「慌てろ」??
「慌てよう」??

 

「慌てる」にこのような活用形は
ありません。

 

そもそも命令形、意向形にできるか否か
というのは、

その動詞が、意志動詞か無意志動詞か
ということ。

つまり、

「慌てる」は無意志動詞。

 

言い換えれば、

「慌てる」は主体でコントロールできない、
自然発生的な動作を表わす動詞である

ということ。

 

一方、

「急ぐ」は

「急げ」
「急ごう」

のように命令形や意向形にすることが
できます。

 

つまり、「急ぐ」は意志動詞。

 

言い換えれば、

「急ぐ」は主体がコントロールして
意識的に行うことができる動作を表わす
動詞である

ということができるわけなんですね。

 

こうした違いを学習者に提示すれば、
「慌てる」と「急ぐ」の使い分けが
より正確にできるでしょう。

 

このように、動詞の類義語を分析する
方法として

「動詞を活用させてみる。」

というのは、非常に有効なんですね。

 

ぜひ、マスターしていただきたいと思います。


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