類義語の分析方法1-使い分けが明白な例文をリストアップする。
中級以上になると、爆発的に新出語彙が
増えるのは、ご存知の通り。
従って、中級以上では語彙指導が大きな
指導の柱になります。
その中で、重要な指導項目1つに
類義語や類義表現の使い分けがあります。
こういう場合、
類義語辞典を使ってあらかじめその違いを
把握しておくというのが常套手段。
お勧めはこちらの辞書。
『使い方のわかる類語例解辞典』小学館
http://amzn.to/2lCVon7
これは類義語の違いを現代日本語の短い例文で
示した非常にいい辞書ですので、
ぜひ書棚に揃えていただきたいと思います。
しかしながら、
こうした辞書ですべての類義語の違いが分かる
わけではありません。
辞書に掲載されていない場合は、
教師が授業の前に語彙の意味分析をして
違いをはっきりさせておく必要があります。
分析のしかたにはいろいろな切り口がある
わけですが、今回は
「使い分けがはっきりしている例文を
リストアップする。」
という方法をご紹介しましょう。
今年の基礎固めセミナーで扱っている
平成24年度検定試験では、
類義語の分析方法について出題されています。
その1、「美しい」と「きれい」の使い分け。
この両者を使い分けのはっきりしている例文で
比較してみましょう。
さて、「きれい」「美しい」どれになるでしょうか。
例1 二人の友情は実に(美しい・きれい)。
例2 油で汚れた手を(美しく・きれいに)洗った。
例3 料理は(美しく・きれいに)なくなった。
言うまでもなく(でも、言いますが。笑。)
例1は「美しい」
例2は「きれいに」
例3は「きれいに」
です。
たった3文ですので断定はできませんが、
これだけでも、「美しい」にない「きれい」の
意味的特徴として、
「汚れや余計なものが全くない状態」
というのが浮かび上がってきますね。
このように類義語の違いを分析する方法として、
その語彙を含んだ例文をできるだけリスト
アップして、
片方にしか使えない例文を並べて、
意味・用法の違いを分析する、
というのが非常に有効です。
ぜひ、マスターしてくださいね。