仕事で泣いたことがあるのか。
かつてフジテレビで放映された
伝説の料理番組「料理の鉄人」。
2002年には、
「料理の鉄人 JAPAN CUP 2002」
が放映されました。
料理の鉄人 JAPAN CUP 2002
https://youtu.be/UPnwRQhzyc4
本特番は、美食アカデミー主宰鹿賀丈史の
追悼セレモニーから始まり、
(本当に亡くなったわけではありません。
メンバーチェンジのための演出です。)
新主宰、本木雅弘を迎えます。
そして、その新主宰が今回大胆な指針を
発表。
それは、
「出場者は無名の料理人に限る」
この方針に基づき、番組では事前に予選審査
を実施。
イタリアン、フレンチ、日本料理と3ジャンル
ごとに書類審査を通った各10名が、出場枠を
競います。
各ジャンルごとのテーマは、
イタリアン:車海老
フレンチ:豚
日本料理:かぶ
制限時間45分で1品完成する。
審査員は、細木数子、道場六三郎、服部幸雄。
審査が終わり、各ジャンルごとの番組出場者が
発表されます。(8:27あたり)
フレンチ、イタリアンそれぞれの出場者が
発表され、いよいよ日本料理の出場者が
道場六三郎から発表。
しかし、その道場の口から意外な言葉が。
「今回は、該当者なし。」
会場に一瞬、緊張感が走る。
いったい何が道場をここまで怒らせたのか。
道場は、おもむろにこう講評します。
「もうちょっとね、カブというものの仕事で
泣いたことがあるのか、ということを
僕は一言言いたい。」
カブ料理の基本はその柔らかさ。
しかし、今回の料理は番組出場ということが
仇になったのか、その基本を忘れたものばかり
だったのです。
もし、今までカブの料理で泣いた経験があれば、
それが大きな楔(くさび)となって、基本を
踏まえた創作料理ができたはずなのです。
私たち日本語教師も、日々授業をしている
わけですが、
中には、うまくいかないこともあります。
その時に、
「まあ、今回は仕方ないや。」
「もともと不真面目なクラスだから。」
ではなく、
「悔しい!なぜうまくいかなかったんだ!」
という思いを、今までどれだけしているでしょうか。
悔しい思いをするということは、それだけ
日本語教師としての自分に誇りを持っている
ということ。
その思いがあれば、
「基本をなおざりにするとこうなるのだ!!」
「今度は同じ思いを絶対すまい!」
と、強烈な楔が心に刻み込まれ、
自分なりにいろいろ改善策を絞り出し、
次の授業につなげ、
また、その経験がその後の教師生活にしっかり
活きる。
そういう人の授業というのは、
安定感を感じつつも、授業の随所に創意工夫が
見られますし、
見る者をきゅーっと惹きつけるものがありますし、
何より迫力が違います。
だから、プロを目指すのであれば
「仕事で泣くほどの経験をする。」
というのは、とても大事なことなのです。
「どうにも授業がうまくいかない。」
もしそんなお悩みをお持ちであれば、
「そもそも泣くほど授業に情熱を注いでいるか。」
「授業の基本がしっかり身についているか。」
内省してみてはいかがでしょうか。
そこに新たな成長の種があるかもしれません。