相補(的)分布って、何だ?
「相補分布」あるいは「相補的分布」という用語を
ご存知でしょうか。
「相補的」とは、
「互いに補い合うさま」(『日本国語大辞典』)
ですので、「相補分布」とは
「互いに補い合うように分布している状態」
ということになります。
実はこの用語、日本語教育のあちらこちらに
出てきます。
音声学では、例えば「ン」の発音が相補分布を
なしていますし、
文法で入れば、「いる」「ある」も相補分布
をなしています。
と言っても、これだけだとイマイチぴんと来ない
かもしれませんね。
そこで今回は、この相補分布について検定会員の
T.R様よりご質問をいただきましたので、
私の回答もあわせてご紹介します。
T.R様、ご質問ありがとうございました。
「相補分布」の意味、しっかりマスターしてくださいね。
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■ご質問■
篠崎先生
いつもお世話になり、ありがとうございます。
T.Rと申します。
4.1日本語の音声の諸現象 道場破り 問題1 問4
回答は分かるのですが、相補分布について、ネットでも
検索してみたのですが、いまひとつよく分かりません。
お手数おかけして申し訳ありませんが、
ご解説宜しくお願い致します。
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4.1日本語の音声の諸現象 道場破り 問題1 問4
(本文省略)
問4 文章中B“相補分布”をなすものとしてあてはま
らないものを、次の1~4の中から一つ選べ。
1 動詞「いる」と「ある」
2 言葉の性差
3 助数詞「-本」の読み方
4 動詞の使役形の作り方
正解2
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■お答え■
相補分布というのは、文字通り
「相補う?ように分布している」
状態を指します。
具体的には、以下の2つの条件を満たした分布のことです。
1.構成要素で分布全体をもれなくカバーしている。
2.構成要素同士で分布の重なることがない。
例えば、選択肢1の
動詞「いる」と「ある」
で言うと、
「いる」と「ある」両語で、主体が何であれ、それが
存在していることを表します。
つまり、上の1を満たしていると。
そして、
主体が生物であれば「いる」が、
無生物であれば「ある」が用いられ、
分布が重なることがありません。
これは、言い換えれば、
「いる」がカバーできない部分を「ある」が補い、
「ある」がカバーできない部分を「いる」が補っている
ということができます。
?
つまり、上記2も満たしているわけです。
こういう関係を相補分布といいます。?
いかがでしょうか。
■お便り-再び■
篠崎先生
いつもお世話になりありがとうございます。
早々のご返信ありがとうございました。
初めて質問メールを送らせて頂いたのですが、
とても分かりやすく解説して頂き、大感謝です。
短いメールの中でのピンポイントの言葉選び…
まさに篠崎マジックを見せていただきました。
ありがとうございました。
今後もよろしくお願いいたします。
=========ここまで=============
いかがでしょうか。
以上の他にも、日本語の減少の中には相補分布を
なすものがあります。
考えてみてくださいね(^_^)