検定試験合格は、何のためか。
『新 味いちもんめ』は、
和食料亭「SAKURA」を舞台に、
主人公伊橋が料理人として成長して
いく姿を描いた人情味あふれるマンガです。
『新 味いちもんめ』コミック 全21巻完結セット
http://urx.red/uGnK
私も以前全巻大人買いし、読了しました。
日本語教育にも通じるものが多々あり、読んでいて
いろいろと勉強になります。
第8巻では、主人公伊橋がかつての兄弟子花巻
のフグを捌く姿に感銘を受け、フグの調理資格
を取ろうとします。
それを聞いた店長吉田は
「フグ免許なんて10年早い!!」
と一喝。
実際、フグの免許を取るのは相当大変で、
食べられるフグと食べられないフグの
見分け方など幅広い知識が必要なだけでなく、
与えられたフグを20分以内に正確に捌けないと
合格することはできません。
そして、その技量を身につけるためには50匹
以上のフグを捌く経験をしなければならないのです。
そんな中、店の常連で料理研究家の山賀が来店し、
タラの白子の茶わん蒸しを食しながら伊橋と会話します。
(ちなみに、山賀も伊橋も男性です。)
以下。
山賀:伊橋ちゃんは何のために免許を取るの?カッコいいから?
それとも自分で捌いて食べたいから?
伊橋:いや、そういうわけじゃ…
山賀:さっき“トラフグの白子は別格”って言ったわよね!?
伊橋:は、はい…
山賀:酒田の“寒ダラ”って知ってる?
伊橋:……。
山賀:食べてもいないのにそんなこと言うなんて、伊橋ちゃん
らしくな~~い。
確かに“トラフグの白子”は最高。
でも、山形県酒田の“寒ダラの白子”はまた別格!!
ちょっとやそっとの“フグ”には負けないわ。
伊橋:へ~~っ。
山賀:へーっ、じゃないわよ!!!
伊橋:へ?
山賀:白子に限らず、世の中にはあなたの知らない、食べたこと
のない食材がたくさんあるわ。
伊橋:はあ…
山賀:今のあなたは、資格や免許を取る以前の問題かもしれない
わねぇ……
伊橋:どういうことですか?
山賀:一を知って全てをわかったような気持ちじゃダメなの。
板前さんは!!
最高級と珍重するするのはいいけど、食材は産地やなんか
で決めるんじゃなく…
料理人の目利きで決まるんじゃなくて!?
資格はステイタスじゃなくってよ!
伊橋:(じゃあ、資格を取る意義って…?)
そして、白子を口にする山賀が、思わず「美味し~ッ」。
それを見てあることに気づく伊橋。
伊橋:笑顔ですね!!山賀さん。
お客さんの喜ぶ顔が見たいから資格を取る。
そういう気持ちがないと、資格を取る意味ないですもんね!
山賀:資格があれば扱える食材が増える。お客さまも喜ぶ。
板前冥利につきるってことよ!!
伊橋:そうだ!!
いかがでしょうか。
本メルマガ読者の方の中には、
日本語教育能力検定試験合格を目指し、日夜
受験勉強に励んでいらっしゃる方も多いと思います。
それはそれで大変意義のあることですし、
合格することによって就活が有利になるだけでなく、
教師としての箔がつくのも確かでしょう。
しかしながら、実際にその勉強を始めてみると、
その範囲の広さや知識の深さに驚くことも
少なくないのではないかと思います。
もしそうだとしたら、今一度、
「何のための検定合格なのか。」
と自問してみてはいかがでしょうか。
知識やスキルがあれば、今までできなかった
指導が“できる”にかわるかもしれません。
そして、教師の“できる”が増えれば、
それだけ学習者も喜ぶでしょう。
それこそ教師冥利に尽きると言えるのではないで
しょうか。