2018年の法改正をどう見るか。
昨年末に改正された入管法が、ニュースでも
大きく取り上げられましたね。
日本語教育界も、これからこの法改正にどう
向き合えばいいのか、いろいろと議論が出て
いるようです。
私が主宰している通信講座「篠研の検定対策」
の講義資料
「No.107 人口の移動」
では、今回の法改正を以下のように解説して
います。
(早速講義資料に盛り込みましたよ(^_^))
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景気回復に伴う産業界の人材不足を外国人労働者で
補うことや、
今後国を超えた人の移動がさらに活発化することが
予想されることから、
これまでの入国管理局の機能の強化を目的に、
2018年12月、出入国管理及び難民認定法
及び法務省設置法の一部を改正する法律が国会で
可決されました。
改正のポイントは、以下の2項目です。
特に1.は、これまでの施策から大きく転換し、
外国人労働者を積極的に受け入れるもので、
大きな方針転換と言えます。
なお、本法律は2019年4月1日より施行されます。
1.在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設
2.出入国在留管理庁の設置
1.については、「深刻な人手不足に対応するため,
一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を
受け入れる」(法務省入国管理局(2018) p.2)を目的に、
特に人手不足が深刻な分野に対する人材供給を目的に
創設されるものです。
法務省入国管理局(2018)「新たな外国人材の受入れに
関する在留資格「特定技能」の創設について」:
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/
kaigi/dai2/siryou2.pdf
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で、今回の法改正をどう見るかですが、
私としては、今回の法改正は、日本語教育と
産業界が結びつく大きな契機になると考えて
います。
従来のような日本語教育機関対学習者といった
BtoC(企業(business)対一般消費者(Consumer))
のようなビジネスだけではなく、
日本語教育機関対企業
というBtoB(Business-to-business。企業間取引)
といったビジネス形態がどんどん生まれてくる、
さらには、プロデュース力のある一日本語教師が
コンサルタントとして企業内研修の一環としての
日本語教育研修のデザインに関与する
そんな結びつきも出てくるでしょう。
なぜなら、国も企業も日本語教育の重要性は認識
しながら、それについてのノウハウは全く持ち合
わせていないからです。
これは、私たち日本語教師にとっても大きなビジ
ネスチャンスと言えます。
当然ですが、BtoCとBtoBでは、商取引の規模が
桁違いですので、
この流れに乗ったところと乗れなかったところでは
明暗がはっきり分かれるようになるでしょう。
日本語教師個人においても、
ただ日本語の文法だとか文型の教え方を知っている、
授業ができるというだけではなく、
もっと広い視野から、ビジネスの一環として日本語教育
をとらえ、
他業種、他業界の人ともビジネスパートナーとして
きちっと立ち居振舞えることが、強く求められてくる
でしょう。
ましてや、「隠れ労働者」的な留学生を多く抱える
ような経営をしている日本語学校は、あっという間に
淘汰されるに違いありません。
(その前兆が昨年の10月生の許可率の極端な低さだと
私はみています。)
お勤めの日本語学校は、大丈夫ですか。
それからもう1つ。
それは、在留外国人数がさらに増加するに伴って
さまざまなタイプの学習者群が、それぞれ独自の
マーケットに成長するということ。
長くなりそうなので、続きは次回に。