日本語教師の最適時給を改めて計算してみた件。
今の日本語教育界、とりわけ国内の
日本語学校は深刻な教師不足を反映して、
時給2,300円前後ぐらいが相場のようです。
以前は、2,000円前後でしたので
「少しずつ良くなっているなぁ。」
という印象ですが、
それでも教師不足が解消されないところを
みると、
まだまだ日本語教師の待遇はほかの業種に
比べて魅力的ではないんだなぁと感じます。
そこで、ふと
「日本語教師の最適時給はいくらなんだろう。」
と思い、私なりにかなり大雑把に計算して
みました。
例えば、日本語学校の場合、
学生1人当たりの年間授業料を60万円とします。
(ただ、東京あたりだと最短でも1年3か月の
コースが一般的のようです。)
日本語学校は、年間760時間授業をしますので、
学生1人当たりの1時間の授業料は、
600,000円÷760時間≒789円
1クラス15名とすると、
789円×15名=11,835円
つまり、1時間の授業で11,835円の売上を
上げているということです。
ただ、だからといって、これがすべて教師の
労働によるわけではありません。
教室で行うわけですから、施設、設備に
費用がかかっています。
机、いす、ホワイトボードなど、機器備品
にもコストがかかっています。
エアコンや電機もつければ、トイレに行けば
水も流す。
光熱水費がかかります。
さらに、学習者を教室に連れてくるまでには、
母国での進学説明会や現地入試。
入学が決まってからの様々な対入管への申請
書類の作成から手続き。
これらにも相当なコストがかかっています。
もちろん、教室外での生活指導、サポート
にも人の手がかかっているわけですから、
ここにもコストがかかります。
見えないところで、実は結構コストが
かかっているんですね。
ビジネスの世界では、よく社員研修などで、
「給料の3倍稼いで一人前。」
と言われますが、
それは、こうした理由があるからです。
逆にそこから考えると、稼いだ売上の1/3は
自分の取り分と考えてもいい。
そこから考えると、先の11,835円を3で割ると
11,835円÷3=3,945円
ざっくり4,000円ぐらいは貰ってもいいという
計算になります。
もちろんこの計算は、かなり大雑把ではありますが、
少なくとも、
「時給2,300円で喜んでいる場合ではない。」
とは言えるのではないでしょうか。
ましてや、この金額には授業準備は当然のことながら
含まれていないわけで、
もし、授業準備に2時間、3時間かかっていると
すれば、
実質時給は、あっという間に1/2、1/3になるわけ
です。
とはいえ、勤務校の時給は簡単に上がらないわけ
で、
なおかつ、どこの日本語学校も時給に大きな差は
ないわけですから、
私たちがすぐにできる自衛手段とすれば、
まずは授業準備の時間をできるだけ減らすことで、
実質時給を極限まで上げ、
空いた時間を、例えばさらにコマ数を増やすとか、
時給のいいプライベートレッスンを入れるとか、
あるいは、もっと勉強して将来のキャリアアップ
を図るなど、
今よりももっとQOLをあげることを志向すること
ではないかと思うわけです。
その思考の第一歩として、まずは、授業準備を
含んだ今の実質時給を計算してみるといいかも
しれませんね。