「わかりましたか」「何か質問はありますか」-初級授業の禁句
通信講座「篠研の日本語教育能力検定試験対策」
7月16日配信
「No.046 初級の指導法」
より。
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特に初級の授業においては、学習者に言っても意味がない、
あるいは逆に学習者に対して教師が誤った認識を持って
しまう言葉があります。
その代表的なものが
「わかりましたか」と「何か質問はありますか」
です。
なぜなら、習得している日本語が極めて限定的で、
特に日本国内の多くの教育機関で行われている
直接法による授業においては、
学習者自身、わかったかわかっていないのかが
はっきりわかっていない、
あるいは何か質問があってもそれを日本語で表現
できないからです。
逆に、「わかりましたか」「何か質問がありますか」と
学習者に問いかけ、
特に何も反応がなかったことで「この学習者はすべて
理解している」と誤った判断をしてしまい、
定期試験などで予想をはるかに下回る結果をみて
はじめて、
それまでの授業が学習者と全くかみ合っていなかった
ことを思い知らされるといったことも少なくありません。
従って、教師は授業においては、指導項目を導入した後、
即座に理解できたかどうかをみるミニタスクや質問を
逐一学習者に投げかけることによって、
その反応から理解状況を把握し、場合によっては再度
導入し直すなどして、適切に授業運営をする必要が
あるわけです。
「わかりましたか」「何か質問はありますか」は、
指導能力に自信のない教師の単なる気休めでしか
ありません。
よくよく自戒してください。