「に限らず」と「だけでなく」はどう違うか(その1)。

今日の「日本語教育概論」ではアクティブ
ラーニングとして、中級文型の文型分析を
させました。

 

具体的には

「に限らす」

という文型です。

 

これは中級ではよく扱われる文型ですね。

 

通常、中級になると初級の時と違って
文型導入で絵カードはあまり使わず、

学習者が理解できる日本語を駆使しながら
例文、意味、構文の3セットで学習者に
意味・用法を提示します。

 

例文であれば、例えば、

例)このサッカーチームは、彼に限らず全員
ブラジル人だ。

 

構文は

名詞+に限らず

という形ですね。

 

学習者に意味を提示する場合は、

基本的には学習者の知っている
もっと分かりやすい表現に置き換えて
提示するのが基本。

 

この場合、

「『だけでなく』とだいたい同じ意味です。」

と提示すると学習者に分かってもらえるでしょう。

 

ところが、問題はその次で、

「に限らず」と「だけでなく」が全く同じか
というと決してそうではありません。

 

例えば、先ほどあげた例文

例)このサッカーチームは、彼に限らず全員
ブラジル人だ。

を「だけでなく」に置き換えると、なんとなく
不自然な文になってしまいます。

例)?このサッカーチームは、彼だけでなく
全員ブラジル人だ。

 

一方、

例えば「だけでなく」を使った例文

例)私は猫だけでなく犬も好きです。

の「だけでなく」を「に限らず」に置き換えて
みると

例)?私は猫に限らず犬も好きです。

になって、これもやはりちょっとおかしい文
になってしまいます。

 

そうすると、「に限らず」「だけでなく」は
非常によく似た言い方であるものの、

やはりどこかに用法差があるということ
なんですね。

 

この差を学習者に伝えてあげないと学習者は
後々

「私は猫に限らず犬も好きです。」

といった誤用を犯してしまうわけです。

 

ではこういった違いを抽出するためには
どうしたらいいか。

 

基本的な手順としては

「に限らず」にしか使えない例文と、
「だけでなく」にしか使えない例文

をできるだけたくさん挙げてみて、
両者の違いからルールを抽出すると。

 

そうやって、条件に合った例文をできるだけ
たくさんあげられる力を身につけることが、

ことばの分析力を高める上で不可欠なのです。

 

ここを怠けると、成長はないですよ(^_^)

 

続きは次回に。


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