「逆もまた正しい。」を日々体験できることこそ日本語教師の魅力 ではないか(再び)
過去の本メルマガを読み返してみると、
自分が書いた文章でありながら、
「なるほどなぁ。」
と妙に感心してしまうことがあります(自画自賛(^_^))
ちょうど1年前の6月27日配信のメルマガでは、
「「逆もまた正しい。」を日々体験できることこそ日本語教師の
魅力ではないか。」
と題したコラムを書いています。
我ながら、「なるほどなぁ。」と感心する内容なので
改めてシェアします。
以下、引用。
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アメリカで道に立っていたとしましょう。
そこへ日本人がやってきて質問をします
「すいません この区画は何という名前ですか?」
「何? ああ こっちがオーク通りで あっちがエルム通り
これが26番通りで 向こうが27番通りです」
「それで この区画の名前は?」
「区画に名前なんてないですよ
名前は道についていて
道の間にある名前のない部分が区画です」
彼は頭を混乱させ がっかりしながら歩き去るでしょう
今度は逆に日本のどこかの道に立っていて
誰か近くにいる人に聞いたとしましょう
「すいません この道は何という名前でしょう?」
「はい 向こうが17番地で こっちが16番地です」
「じゃなくて この道の名前を知りたいんですが?」
「道の名前なんてありませんよ
名前は区画についています
Google Mapsを見てください
これが14番 15番 16番 17番 18番 19番地です
区画にはみんな名前があります
区画の間の名前のない部分が道です」
「それだと家の住所はどうやってわかるんですか?」
と聞くと
「簡単ですよ ここが8丁目でしょ
その17番地の 1号の家です」
「少し歩き回ってみたけど
家の番地が順番になってませんでしたよ」
「そりゃそうです 建てられた順に番号は付きますから
この区画で最初に建った家が1号になります
2番目に建てられたのが2号
3番目の家が3号 簡単です わかりきったことでしょう?」
これだから私は時々地球の反対側を
訪れるのが好きなんです
◆ ◆ ◆
これは、下の動画(必見!)の冒頭の一節です。
デレク・シヴァーズ「変?それとも違うだけ?」
goo.gl/NRVtRd
「通りに名前があって区画に名前がないのが
当たり前。」
と思っている人にとっては、
区画に名前があって通りに名前がないのを
変に思うでしょう。
また、その逆も然り。
しかし、それは決して「変」なのではなく、
ただ「違う」だけなのです。
いや「違う」だけなのではなく、
「なるほど、そういう見方があったか!」
「なるほど、そういう考え方があったか!」
と、新たな世界があることを私たちに
気づかせてくれます。
脳内の世界観を広げてくれるのです。
私はかつて(20代の時)、日本語学校でインド
ネシア人に日本語を教えた経験があります。
その学生は、よく遅刻をしてくる学生でした。
遅刻や欠席が多いと、在留資格の更新の際に
在留期間が短縮されたり、
最悪更新できないこともあります(当時)。
さらには、それが学校の評価にもつながります。
なので、私は、
「1分、1秒でも遅れたら遅刻ですよ。
遅刻が多いと、日本にいられなくなるん
ですよ。」
と、口酸っぱくいっていました。
「この学生、なんて時間にルーズなんだ。」
正直、そう思ったこともありました。
ある日、その学生が私に言いました。
「先生、1分、1秒を気にして
人生楽しいですか。」
はっ!
以前何かの本に書いていたのですが、
インドネシアでは、
「時間に拘束される人生ほど
つまらない人生はない。」
といったような価値観があるのだ
そうです。
その時私は、時間よりも大事なことを
忘れていたことに気づかされました。
日本に住む私たちは、得てして
時間厳守=善
時間違背=悪
といった価値観になりがちです。
もちろん、それが決して悪いわけ
ではありません。
それがなければ、何かにつけ
予定通りに進まないから。
しかし、
そうした考えは、おそらく世界の
半分しか理解していない。
世の中には、
時間厳守=不幸
時間違背=幸
という全く逆の、しかしそれはそれで
正しいと言うべき価値観もあるのです。
そして、そういう価値観もあることを
私たちが知ったとき、
時間厳守=善
時間違背=悪
という価値観が絶対的なものでは
ないということ、
その価値観の向こうに、まだまだ
多くの世界や可能性が広がっている
ことを知るのです。
そして、そんなパラダイムシフトを
日々経験できるのが、日本語教師
という仕事。
なぜなら、ここはさまざまな価値観
さまざまな世界観を持つ人間の
集まる所だからです。
そう考えると、
日本語教師ほど魅力的な職業はないんじゃないか。
そう思うのです。
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いい文章書くなぁ、俺(笑)