非漢字圏時代の中国人から学ぶ非漢字圏学習者への漢字指導法。

つくづく、検定試験問題の吟味は教育現場に
おびただしい示唆を与えてくれると、

改めて感じている次第。

平成29年度検定試験問題の試験I問題1(4)
の問題

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【  】内の観点から見て、他と性質の異なる
ものを、それぞれ1~5の中から1つずつ選べ。

(4)【漢字の成り立ち】

1 日
2 月
3 川
4 山
5 林

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答え、わかりますか?

正解は5です。

1~4は、象形といってものの形をかた
どって作った漢字。

例えば、「1 日」はこんな感じ。

https://goo.gl/9jXpgQ

ところが、「5 林」だけ会意といって
既成の象形文字または指事文字を組み合わ
せることによって作った漢字。

だから、正解は5なんですね。

ちなみに「象形」でどうして「象(ゾウ)」
の字を使うかというと、

「象」の訓読みが「象る(かたど・る)」
だから。

知ってました?

さて、ここで話を終わらせてしまうと

「だから何なんですか?」

ということなのですが、

実は、漢字の成り立ちというのは
私たちに非常に重要な示唆を与えて
くれるのです。

というのも、漢字を作る以前の中国は
当然のことながら漢字がなかったわけで、

つまり、漢字成立以前の中国は、いわば
非漢字圏だったわけです。

それが、当時きっと

「今のままだと、情報伝達の仕方が
とっても貧相で、とっても非効率的で
不便だよね。

何とかならんもんかね。」

みたいな話がなされ、

「確かに、例えばお天道様を指すときに
いちいち

『一番明るいときに、空の一番上に
ある、いつもギラギラ光っている
あれ。』

みたいに言わなきゃいけないのって、
すっごい不便。

もっと、一発で言い表せる便利な文字は
できないもんかね。」

となり、

「じゃあ、お天道様とみんながすぐわかる
絵をかいて、それを文字にすれば、
みんな簡単にわかるんじゃね。」

となって、結果「日」という文字が生まれた
わけです(たぶん)。

それがいわば象形文字なわけですが、

そうやって、一通り象形文字を作り尽くした
あたりで、

「もうこれ以上絵をかいてつくる文字、
思い浮かばないんだけど。」

と行き詰ったわけですが、きっと誰かが、

「じゃあ、今まで作ったやつを組み合わせれば
当面何とかなるんじゃね。」

となって、

「んだね。

例えば、「ハヤシ」は、つまりは「木」が
そこそこ集まっているところなわけだから、

2つ並べて「林」にすればいいんじゃね。」

となって、周りも周りで

「GOOD JOB!」

みたいなことを言って、
結果、会意文字「林」が生まれたと。

つまり、どういうことかというと、

漢字の成り立ちというのは、非漢字圏であった
中国が漢字圏に変わっていく思考のプロセスを
表していると言えるわけです。

しかも、それは自然発生的に生まれたわけ
ですから、

プロセスとしては、最も多くの人に受けれ
られやすく

最もストレスフリーなもののはず。

翻って、今の教育現場は東日本大震災以前と
比べ、非漢字圏学習者が非常に多く、

彼らに対する漢字指導をどうするかが大きな
課題となっているわけですが、

それこそ、中国人が漢字を生み出した
プロセスを辿るかのように、

まずは象形文字や指示文字を、
漢字の成り立ちから説明すれば、

「なるほどね。GOOD JOB!」

と納得感を持って受け入れてもらえるで
しょうし、

会意文字も、「林」の例のごとく組み合わせ
の発想から説明すれば、同様に

「なるほどね。GOOD JOB!」

と納得感を持って受け入れてもらえるで
しょう。

さらに、形成文字に至っては意符(≒部首)と
音符の知識を動員し、

「例えば、左側に『言』がある漢字は
コミュニケーションを表す動詞だから、

意味が分からなかったら、「コミュニケー
ションする」という意味と思えば、だいたい
OK!」

と学習者に伝えれば、

「なるほどね。GOOD JOB!」

と納得感を持って受け入れてもらえるで
しょう。

そう考えると、漢字の成り立ちは、今の教育
現場にとても重要な示唆を与えてくれると
思いませんか。

ってな話を、このセミナーではてんこ盛りで
やります(笑)

よろしかったら、ご利用いただければと(^_^)

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