「視野狭窄(しやきょうさく)教師」にならないために(その1)
「視野狭窄」とは、
「視野が縁のほうから、あるいは不規則に欠けて
狭くなる状態。」
-コトバンク
簡単に言えば、視野が狭くなる状態なのですが、
こうなると、周囲の情報収集がうまくいかず、
誤った判断や行動をとってしまいがち。
もちろん、これは医療分野での話ですが、
日本語教師のなかにも、これに似た状態、
つまり、知らず知らずのうちに認知的な
視野狭窄状態になっている方がいるようです。
例えば、「授業中はスマホ禁止」を謳ったり、
あるいは、授業の前にスマホを取り上げたり
する教師。
どうして、授業中のスマホ利用禁止が
「視野狭窄」にあたるかというと、
禁止する理由の多くは、
「授業中にスマホをいじっていると、
教師の説明を聞き逃したり、
授業中にゲームやネットサーフィンを
やって勉強しないから。」
だと思いますが、
(というか、そういう理由で禁止している
という話をよく聞くので。)
学習者が授業中にスマホをいじるのは、
決してそういう理由だけではないからです。
彼らにとって、スマホはいわば辞書であり、
情報収集ツール。
だから、わからない言葉を調べているだけ
ということも往々にしてあるし、
教師の口頭での説明だとイメージが湧か
ないので、
ネットで関連の記事や写真や動画を探して
理解を深めているということも普通にある
のです。
それを、
「授業中にスマホをいじっていると、
教師の説明を聞き逃したり、
授業中にゲームやネットサーフィンを
やって勉強しないから。」
という理由で【使用禁止】を謳うのは
あまりにも認知的視野が狭いというもの。
怖いのは、視野が狭いというだけではなく、
そうした教師の態度を学習者は、
「私はあなたを信用していません。」
というメッセージとして受け取っている
可能性が極めて高いということ。
それでクラス運営がスムーズにいきますかね。
私は、そうした教師を
「視野狭窄教師」
と呼んでいます。
もちろん、中には本当に授業中スマホで
遊んでいる学習者もいるでしょう。
その原因はだいたい、
1.そもそも日本語学習が真の来日目的ではない。
2.教師の授業がおもしろくない。
の2つに1つ。
もし、1であれば、
「学生募集の段階で間違っていますよね。」
という話ですし、
もし、2であれば、
「教師の授業力をあげることが最優先ですよね。」
という話。
1は一教師の力では如何ともできないので、
教師の授業力でひっくり返すか、さもなくば
他の職場を検討するかしかないでしょう。
(今は求人が多いので、できない話ではありません。)
2は、教師の努力でいくらでも克服できること
なので、
本を読むなり、セミナーに参加するなりして
スキルアップをすればいい。
ただ、スマホ禁止タイプの「視野狭窄教師」は
もう少し深い問題があるように感じます。
続きは、次回に。