9名中8名の学習者が間違えた、Yesじゃない「いいよ」の用法。
本学別科で日本語教育をしている
篠研スタッフの話。
スタッフといっても、日本語教師歴
15年以上の大ベテランです。
聴解の授業で、こんな問題があった
そうです。
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A:今度の飲み会、田中さんを誘おう。
B:わかった。課長はどうする?
A:課長はいいよ。
問い 二人は課長を飲み会に誘いますか。
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答えは当然、「誘わない」ですね。
ところが、そのクラスの9名中、実に8名が
「誘う」
と回答。
なぜか。
「いい」=Yes
と考えたからです。
しかし、ここの「いいよ」の意味は、
「(誘わなくても)いいよ。」
という意味。
学習者は、これが分からなかったんですね。
でも、こんなやりとり、普段の生活の中で
ごく普通に起こりませんか。
ということは、学習者が日常生活で日本人と
やりとりする中で、
この用法の意味を取り違えて誤解してしまう
可能性が非常に高いということです。
結果、招かれざる客を呼んでしまったら、
きっと次回の飲み会から、その外国人も
呼ばれなくなってしまうでしょう。
実は、日本語学習者が日本人との会話で
誤解をしてしまうのは、
何か小難しい語彙の意味用法が分からなかった
とかいうことよりも、
こうした、ごくごく簡単な基本語彙の意外な
意味用法が原因であることが多いのです。
似たようなのに「結構です」がありますね。
「いいですね」と「いりません」の両方の
意味を持っており、外国人には判断が難しい
表現です。
また、「ちょっと」もそうです。
「ちょっと」=量が少ない
という意味しか知らないと、街で日本人に
道を聞いたときに、その日本人が言った
「いや~、ちょっとわかりませんねぇ」
の意味が分からないでしょう。
もし、そこで外国人が
「知らないのがちょっとなら、だいたいわかる
ということだから、出し渋らないでさっさと
教えてよ。」
と思ったら、完全な誤解です。
学習者が、こんな落とし穴に落ちらないためにも
私たち日本語教師は、しっかりした日本語の知識と、
学習者が誤解しやすい日本語表現というものを
知っておく必要があるでしょう。
こうした情報は、
【通信講座「篠研の検定試験対策」講義資料個別販売】
http://www.kanjifumi.jp/kogisiryou_kobetuhanbai/
でも触れていますし(ちょうど今、日本語学関係)
下記セミナーは、どストライクの内容となっています。
「課長はいいよ。」=「課長を誘う」
そんな誤解をしてしまう学習者を、優しく
救ってあげられる日本語教師って、
とてもすてきですよね(^_^)