キーワード解説「た」
これまでの日本語教育能力検定試験に出題されたキーワードを、随時解説していきます。知識の補完・整理にご活用ください。
ダイクシス★
deixis。話し手と発話される場面との関係によって指示する内容が決定される言語表現。直示。
例えば、「私」という言葉は、話し手が誰かによって指示する内容が変わってきます。このような表現をダイクシス(直示)というわけです。
直示には、主に人称直示、時間直示、場所直示、談話直示、社会直示、移動直示があります。
(1)人称直示:人物を指定するもの。
(例)「私」「あなた」「彼」「お母さん」「いとこ」「社長」…
例えば、日本語の「あなた」と英語の「You」は用法にずれがあるにもかかわらず、それを知らないために日常会話で「あなた」を多用する学習者が見られます。(例:「あなたは先生ですか。」)初級では致し方ないとしても中級では指導したいところです。
(2)時間直示:時間を指定するもの。
(例)「今日」「明後日」「今週」「来月」「来年」…
例えば、日本語では「先週-今週-来週」というところを、中国語では「上星期-本星期-下星期」というのだそうです。時間感覚も言語によって様々です。
(3)場所直示:場所を指定するもの。
(例)「ここ」「そこ」「あそこ」「右」「上」「前」…
場所直示に限らず、日本語の指示詞は「コ・ソ・ア」の三項対立ですが、これも言語によっては二項対立であったり、あるいは三項対立であっても日本語とは体系が異なったりといったことがあるので注意が必要です。
(4)談話直示:指示詞の文脈指示用法
日本語の指示詞の文脈指示用法を簡単にまとめると、以下のようになります。
「コ」:直前直後の内容。
「ソ」:話し手と聞き手のいずれかにしかない情報、あるいは仮定の内容。
「ア」:話し手と聞き手のいずれも知っている情報、あるいは記憶の内容。
(5)社会直示:社会的要素を指定するもの。
日本語では敬意表現がこれにあたります。
(6)移動直示:「(て)行く-(て)来る」や授受動詞など、移動を表す動詞。
これらの動詞は、着点や起点が話し手でなければならず、話し手と発話される場面との関係によって指示する内容が決定されるのでダイクシスと言えます。本稿ではこうした直示を移動直示とします。
(例)母が私に荷物を送ってきた。
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