ディクトグロスで学習者の身についていない既習文法をあぶりだす。
以前読んだこちらの本から。
『国際交流基金日本語を教えるシリーズ4
文法を教える』
https://amzn.to/3hHnQ2R
このシリーズ、国際交流基金で研修を受ける
ノンネイティブ教師用に作られたテキスト。
ネイティブ教師が目を通さないで済むわけが
ないですよね。
ところで、学習者に日本語を教えていると、
「せっかくいろいろな文法を教えたのに、
あまり使っていない。
というより、使おうとしない。」
と思うこと、ありませんでしょうか。
初級だとヴォイス表現等はその最たる例。
既習文法を使わない理由はいくつか考え
られますが、
せっかく学んだ文法を積極的かつ効果的に
使ってもらうためには、
まず、
「なるほど、こういう時にこういうふうに
使うのか!」
という「気づき」を得てもらうという
ことが重要。
そのタイミングで教師が解説すれば、
学習者も、
「じゃあ、今度から使ってみようか。」
と思ってもらえるかもしれません。
そこで、その「気づき」を促す指導方法
としてご紹介するのが、「ディクトグロス」。
ディクトグロスとは、
「インプットとして与えられた内容(聞いた
内容)をできるだけ同じように復元して
アウトプットする活動」(p.70)
ポイントは、ディクテーションのように
細切れに聞かせて正確に書き取らせるの
ではなく、
まとまった文章をまるっと聞かせたうえで、
どんなことが書いてあったかできるだけ
正確に復元させるという点です。
具体的にな手順は、以下の通りです。
=====ここから==========
1.教師は、まとまった文章を、普通の
スピードで声に出して2回程度読み
上げ、学習者はメモを取りながら聞く。
2.学習者は取ったメモや記憶を元に、
ペアまたはグループで話し合いなが
ら、下の文章をなるべく正確に書く。
この話し合いは、母語で行ってもよい。
3.教師は、元の文章を学習者に見せ、
学習者は、自分たちが書いた文章と
元の文章を比べてみて、確認、修正を
行う。
4.教師は、必要に応じ、文法項目に関す
る説明を加える。(p.70)
=====ここまで==========
こうやって、学習者は元の文章と自分たちが
書いた文章を見比べることによって、
「なるほど、ここで受け身を使うのか。」
とか、
「いままで気が付かなかったけど、自分
たちは仮定表現をほとんど使ってない。」
ということに気づくわけですね。
そうすると、学習者は当然、
「出来ていない部分を補いたい。
先生、教えてください。」
となるわけです。
もちろん、教師側にしてもこうした活動を
折に触れ行うことによって、
既習文法のうち、どれがまだインテイクの
域に達していないかが、手に取るように
わかるわけです。
また、本書では文章を用意するポイント
として以下の3点を挙げています。
=====ここから==========
・学習項目の文法が含まれていること。
・短い文(3~5文)であること。
・学習者のレベルに合っていること。
(p,70)
=====ここまで==========
この部分をしっかり押さえたうえで、
実施すれば、
学習者はさらに、文法学習の大切さを
実感するのではないでしょうか。
ぜひ、試してみてくださいね。