どうして日本をジャパンというのか。
呉音、漢音、唐音といえば、漢字の音読み
の種類のことです。
令和2年の日本語教育能力検定試験にも
出題されましたね(^_^)
皆さんの中には、
「どうしてそんな細かいことを勉強しな
ければならないのか。」
と思われるかもしれません。
実際、授業で呉音、漢音、唐音を指導する
ことは、まずありません。
たまに学習者から
「どうして日本語の漢字にはこんなに
いろいろな読み方があるんですか。」
と質問されたときに、
(こういう質問はちょいちょい受けます。)
「実は、漢字の読み方は中国から3回に
わたって別々に伝わってきたんですね。」
と答えるための裏付けとして、こうした
知識が必要になるわけです。
また、呉音・漢音・唐音を覚える方法、
というほどではありませんが、
概ね呉音はやわらかい音調、漢音は固い
音調であることが多いです。
(詳しくは、通信講座の講義資料で。)
例えば、「日」であれば、
「ニチ」は呉音、「ジツ」は漢音
という具合。
そこで、問題。
どうして日本のことを「Japan」という
のでしょうか。
今でこそ、「日本」と言えば、「ニホン」
「ニッポン」ですが、
江戸時代には、これに加えて「ジッポン」
という読みもありました。
ポルトガル人宣教師が書いた『日葡辞書』
にもそのような記述があるそうです。
つまり漢音による読み方ですね。
「本日」(ホンジツ)を下から読めば
「日本」になるわけですから言われて
みれば頷ける話です。
その「ジッポン」をマルコポーロが
「ジパング」と表し、
それが欧米に伝わる中で今の「ジャパン」
に落ち着いたというわけです。
つまり、「ジャパン」の語源は日本語の
漢音にあったというわけです。
そう考えれば、漢字の音読みの種類と
いうのは実に奥の深いものかと思います。
それから、これは私が常日頃から大学の
学生に言っていることですが、
「授業に安定感と豊かさ・広がりを出す
ためには、指導項目の10倍の知識が
必要。」
ということ。
マラソンと同じで、42キロを走るので
あれば、
それまでに10倍以上の走り込みが必要
ですよね。
日本語教育も同じです。
上り坂も下り坂もありますが、ゴールは
逃げません。
頑張ってくださいね。